DMG森精機が、このほど環境性能を追求した省電力機能を開発し、新型オペレーティングシステム「CELOS」を搭載した工作機械から順次展開していく。
同社ではこれまで限りある資源と美しい環境を守るために省エネルギーへの取り組みを進めてきているが、今回、工作機械の様々な機能を最適化し、機械を効率的に稼動させることでサイクルタイムの短縮や、自動運転中の省電力など多くの省電力機能を実現した。同社の製品は顧客の生産性向上と省エネルギーを両立した次世代の工作機械に生まれ変わる。
省電力機能の特長
(1)省電力機能
・インバータを用いたクーラント吐出量の制御
加工負荷に応じてクーラント吐出量を調整し、待機時の無駄なクーラント吐出を抑える。
・動力しゃ断機能(特許出願中)
Mコード*1により待機系統の動力をしゃ断する。
・低消費電力品の採用
LED照明や最新の低消費電力の高効率機器を採用している。
(2)サイクルタイムの短縮による消費電力量の削減
・Mコードの最適化
Mコードの完了を待たずに次の指令を開始して複数動作を重ね合わすことで、サイクルタイムを短縮する。
・独自の主軸、サーボ加減速制御(特許出願済)
主軸加減速時間に応じて、位置決め速度を自動調整し、最適な加減速制御を行う。
・ATC(自動工具交換)時間短縮(特許出願済)
ATCアームが主軸から離れると同時に主軸が加速を始め、動作待ち時間を短縮する。
・固定サイクルの動作時間短縮(特許出願済)
深穴あけドリルサイクルにおけるペッキング動作*2回数を自動制御して加工時間を短縮する。
*1 主軸の回転、停止やクーラントの吐出、停止などの制御を行うコード。
*2 ドリル加工で切りくずを切るための戻り動作。
(3)CELOSによる省電力効果の設定と効果の見える化
新オペレーティングシステムCELOSにより、省電力効果の見える化を実現する。
・Efficiency monitoring 画面
動力しゃ断時間、NC非運転時間、加工時間の納入時からの合計時間と割合を見ることができる。
・Energy monitoring 画面
項目を消費電力量(kWh)に置き換えて見ることができる。
・CO2 monitoring 画面
項目をCO2排出量(kg)に置き換えて見ることができる。
・AUTO shutdown 画面
画面や機内照明、動力しゃ断時間の有効/無効時間の設定ができる。
(4)省電力機能の効果
これらの省電力機能に加えて各機構を高速化したCELOS搭載機は、15年以上にわたって使用されている買い替え時期の機械に対して、年間約45 %*3の消費電力量削減となる。
これは、CO2に換算すると年間約2,650 kg*4の削減量となり、地球温暖化防止の取り組みにも貢献する。
*3 同社の1997年製旋盤「SL-250BMC」と最新の旋盤「NLX2500MC」を比較した場合
*4 2012年度の事業者別排出係数等一覧における中部電力株式会社の数値にて算出
● 切削条件や測定時の環境条件などの違いにより、記載の効果が得られない場合がある。