ナガセインテグレックス(社長=長瀬幸泰氏)は、このほど精密金型部品や難削材部品の超精密加工を実現する「小型超精密研削盤」3モデルと「超精密画像計測・補正加工システム」を開発したと発表した。従来の製品カテゴリになかった「小型超精密成形平面研削盤」を新たに投入し、長年開発を行ってきたが、これにより「超精密機上計測・補正加工ソフト」との連動により、超硬金型部品等を素材状態から最終仕上げまでの自動化・ライン化が可能な加工システムとなる。なお、このシステムは、東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2014」(10/30~11/4)で発表・展示する。
製造現場のニーズに応えた「小型の超精密研削盤」と「超精密画像計測・補正加工システム」
同社では開発の背景について、「精密電子部品等の製造に用いられる順送金型・打ち抜き金型。その精度の要となるパンチやダイなどの小物金型部品は、一般的に、①6面体の精密加工→②形状の前加工→③形状・品位の仕上げ加工――の3工程にて製造されている。これらの工程は、汎用の平面研削盤、投影機つきプロファイル研削盤などを用い、職人技で製作されてきたが要求される精度の高さに比例して、多くの手間と時間、コストがかかる。製造現場においては新しい研削盤の開発に対して、強いニーズがあった。ここから従来市場になかった“小型の超精密研削盤”と“超精密画像計測・補正加工システム”を新たに開発して、一連の作業をライン化・自動化する高精度・高能率な加工システムとして発表するに至った」としている。
高速反転加工を実現しながらも、加工点での振動、熱変位の発生を極限まで抑えたナガセの超精密ハイレシプロ研削盤。その機械特性・加工原理のよさを活かして、新たに小物金型部品製作の工程①「小さなワークは小さな超精密マシンで」精密平面加工を実現する「小型超精密成形平面研削盤SGC-215」、工程②「形状の前加工」には高能率な「小型超精密ハイレシプロ成形研削盤SHS-20」、さらに、最終精度を左右する工程③「仕上げ成形加工」には、従来にない高精度なワーク・砥石形状の機上画像測定・補正加工機能を立て続けに開発・バージョンアップし、さらに仕上げ加工の省人化と高速化を図った「超精密機上画像計測システム」を発表し、製造現場のニーズに応えるとしている。
注目すべき点は、このハイレシプロ加工の原理を活かし、今回、SUS・チタン・耐熱合金等の難削材の高能率・高精度加工を可能とした「超精密ハイレシプロ総型成形研削盤ZGP-15」も開発していることである。この新たに開発したマシンは全て同じプラットフォームを採用し、機械の幅も同じコンパクト設計になっており、超硬部品・難削材の自動化・ライン化を強く意識したデザインとなっている。またベッドや構成部品を共通化し、納期もコストも大きく削減する。
同機種または異なるマシンを並べてレイアウトも可能である。クーラントタンク等の共通化でよりリーズナブルに導入することも実現した。いずれの製品もオープン価格でJIMTOF2014へ出展し、販売を開始する。
製品の特長と仕様
■超精密成形平面研削盤 SGC-215SL2S-Zero3
「小さなワークは小さな超精密マシンで」精密平面加工を実現するために開発された小型超精密平面研削盤。砥石軸は剛性に富み、磨耗がない油静圧スピンドルを採用。さらにテーブル左右軸にも油静圧案内を採用。40m/minもの高速反転研削加工を可能としながら、超低振動なマシン特性を実現。【仕様】チャックサイズW180mm×L130mm、砥石径φ180~255×幅8~19mm。
■超精密ハイレシプロ成形研削盤 SHS-20BL2S-Zero3
より高能率・高精度な「小物金型部品等の前加工」を実現するために開発された超精密ハイレシプロ成形研削盤。テーブル左右軸に独自の油静圧案内を採用し、600反転/minもの高速反転研削加工(※20mmストロークの時)を実現。振動の発生を極小に抑制し、砥石形状を磨耗させることなく「仕上げ取り代の極小化」を追求。チルトヘッド搭載。【仕様】テーブル作業面積150×100mm、砥石径φ100×幅5mm。
■超精密ハイレシプロ総型成形研削盤 ZGP-15
「チタン・SUS・耐熱合金などの難削材加工」を実現するために開発された超精密ハイレシプロ総型成形研削盤。400反転/min(60mmストローク)の高速反転により、加工点での熱の発生を極小に抑え、砥石の磨耗を抑えた難削材の加工が可能。さらに砥石軸上部にロータリドレッサを搭載し、より効率的な総型成形加工が可能なマシン。【仕様】有効加工範囲180mm×130mm(チャックなし)、砥石径φ250~405×幅60mm。
■超精密機上画像計測・補正加工システム NV-01
サブミクロンの解像度、繰り返し測定再現性±1μm以下の精度で、機上でのワーク測定、砥石形状測定を実現。ワークを取り外すことなく、機上で加工ワーク・砥石の高精度な輪郭形状測定が可能。従来にない画期的な機能を取り込み、高速な補正加工を実現。ワークの自動交換ユニットとの併用によって、サブミクロンの繰り返し再現性で超硬パンチなどの小型精密金型部品の自動加工に対応する。