三井精機工業(社長=奥田哲司氏)が今年の9月にシカゴで開催された「IMTS2016(International Manufacturing Technology Show)」でAdditive Hybrid仕様の「Vertex55XⅡ」を展示し、来場者から大きな反響を受けた。
IMTSでは、ビード幅2mm×高さ1mmとビード幅1mm×高さ0.5mmのもので実演を行った。幅21mm×高さ21mmの圧縮機ブレードを、インコネル625を用いて荒加工前の状態までを10分弱の時間で積層を行ったことで来場者を釘付けにしたようだ。
「Vertex55XⅡAdditive Hybrid」の特長
最新技術をまとった「Vertex55XⅡAdditive Hybrid」は、1台の機械・同じ段取りでAMと切削加工の両方ができるという特長を活かし、積層-切削-積層-切削を繰り返し行うことで従来の加工では不可能だった閉塞空間の中に切削加工がある部品の製作が可能となったことで、①製作が困難、②加工時間がかかる、③材料が高価などといった部品の補修に威力を発揮する。具体的には、航空機のエンジンに使用されているブリスク(Blisk)や金型の補修用が主な用途となる。
このAdditiveプロセスで採用している方式は、指向性エネルギー堆積(Directed Energy Deposition)。仕組みは、ガスを媒体として積層ポイントに金属粉末が供給され、そこにレーザーを照射して金属粉末を溶融し堆積させる。金属粉末の飛散を防止するため、その周囲にはシールド用のガスが噴射されるといったもの。
Additiveプロセスにおける「Vertex」の有利点は、こうだ。
指向性エネルギー堆積だと、どうしても加工中、金属粉末の飛散は避けられず、飛散した金属粉末は摺動面やボールねじに悪影響を及ぼしてしまう。「Vertex」のメリットは、直線3軸が加工点の上部で移動する恒星のため、落下する粉塵からの影響を受けにくいのだ。また、ユニット全体を含めるとフロアスペースが大きくなってしまうが、コンパクトな設置スペースの「Vertex」なら全体の設置スペースを節約できる。
すでに大手ジェットエンジンメーカーが納入するとのことで、ますます同社の動きに目が離せない!