日本工作機器工業会(会長=寺町彰博 THK社長)が、去る1月17日、東京都内の芝パークホテルで賀詞交歓会を開いた。
あいさつに立った寺町会長は、今年の景況について、「現在、国内の設備投資の意欲もまだまだ衰えてはいない。当工業会は需給委員会が予測しているとおり2,250億と見込んでいる。工作機械業界は、報道では12%ダウンの1兆6,000億円だとのことだが、1兆6,000億円は、過去3番目の受注金額。非常に高い水準が継続されるということで、当工業会も潤うことができるのではないかと思っている。また、昨今の米中経済戦争だが、昔、日本も日米経済戦争というのがあった。あの時は単純に貿易のバランスの問題だったが、今回は、10年、20年後の覇権争い的なものが加わっている。このような時流のもとでわれわれは泳いで行かなければいけない。また、3月には、英国のEUからの離脱という問題も控えている。この英国の離脱によって、どのような形でEUが変わっていくのかは、大変心配な事象である。このような心配事を並べるのが多い年で、昨年とは全く様変わりしたと感じている。」と述べたあと、「自由貿易を標榜している日本としては、ぜひ当局に頑張っていただきたい。そして民間は、しっかりと仕事をし、やはり先々に向けた前向きな手を尽くして行くということが、重要である。特にコネクティッドインダストリーズという、モノが全てつながっていくとなると、機械装置もそこで使われる当工業会の部品やユニット等も信頼性が高いものでなければいけない。故障しないものでなければいけないということが大変重要なことになっていく。新時代に向けて、いかにこうしたものと融合させていくかによって、さらなる大きな発展を、また世界での地位を高めることができるではないか。」と力強くあいさつをした。
来賓を代表して、玉井優子 経済産業省製造産業局産業機械課長が、「今年1年は、日本をはじめとしてグローバルな経済環境、ビジネス環境、これが大きく動く可能性があると考えている。足元の経済状況は、戦後の景気回復最長になろうかといわれている一方で、いくつかの懸念材料、例えば、保護主義の蔓延、米中摩擦、中国の景気減退といった懸念材料が出て来ており、ビジネスの面でも少々先行き不透明感が出てきている。こうした中、昨年末にはTPP11が発効した。2月には日・EUのEPAを発効し、今年は日米物品貿易協定の交渉もスタートする。経済産業省は、引き続き自由貿易の旗振りをしっかり続けるとともに、イノベーションを軸にした中長期的な経済成長、これをしっかりと支えていく。」と述べた。また、イノベーションを進めて行く上での重要性については、「イノベーションの基盤である製造現場の人手不足が深刻化している。製造現場の自動化というのを進めていくことが重要だと思っている。またIoT、AIを活用しながら、従来の技術の壁を越えて、データ・技術、人といったものがつながって、新しい付加価値が付いたサービスやソリューションを見いだしていくことを経済産業省ではコネクテッドインダストリーズと呼んでいるが、これをしっかり進めていく。その際には、日本が競争優位にあるものづくりの技術力、これをベースにしながら技術・製品にとどまらずIoT、AI、ロボットといったさまざまなものと一体となりながら、ニーズに応えるシステム、あるいはそのトータルソリューション等の提供で、グローバルに競争していくことがますます重要になっていくだろう。」との考えを示した。
乾杯の発声は北川祐治副会長(北川鉄工所社長)が行った。宴もたけなわの頃、散会した。