日本フルードパワー工業会(会長=石川 孝 TAIYO社長)が、去る1月16日、東京プリンスホテルで賀詞交歓会を開いた。
あいさつに立った石川会長は、「昨年の世界の経済状況は、トランプ政権によって中国への追加関税が実施された。これに伴い、米国と中国の間で貿易戦争が始まり、中国経済はこの影響を受け、昨年の8月頃より景気が停滞を始めている状況にある。一方、国内の経済状況をみると昨年は自然災害が大変多い年だった。」と振り返り、今年の景況感については、「米国・中国の貿易摩擦は引き続き続くものと、やや長い貿易摩擦になるのではないかと見られている。その一方、英国ではEUの離脱に伴う経済的な影響もグローバルには懸念をされている。こうした観点から、グローバル経済は引き続き不透明感がある状態が続いていくのではないか。」との見方を示した。
日本の国内の状況については、「今年は消費税の増税といったようなやや懸念を覚える事柄も予定されているが、その一方、5月には改元がある。また、秋にはラグビーのワールドカップ、そして来年に向けては東京オリンピック・パラリンピック、そして2025年には大阪万博が実施されるとのことで、経済には大変明るい話題、良い影響を及ぼしてくれそうな話題が多い年ではないかと感じている。内需に関しては今年も腰折れをすることなく順調に推移をしてくれると思っている。」と述べた。
また、2019年のフルードパワー工業会の景況予想については、「私どもの業界をこの1~2年大変強くけん引してくれていた業界は、半導体の製造装置と工作機械の業界だが、今年は少し弱含みそうだという情報がある。その一方、内需関連の業界、あるいは米国を中心とした外需で引き続き強い設備投資意欲があることもあり、今年はやや業界ごとにまだらな景況感を呈しながらも、おおむね総観しては昨年並みの出荷額になるのではないか。」との見方を示した。
工業会の取り組みについては、「かねてより需要対策事業、国際交流推進事業、中小企業支援事業等々の事業に取り組んでいる。今後、さらなるグローバル化、そして高齢化を考えると、フルードパワー業界を今後も支えてくれる若い人材の育成というのは非常に重要な課題であると認識をしている。」と述べ、具体的には、「初級のエンジニアの皆さんの技術講座、国家試験のための対策講座、やや中堅の方の油空圧の技術者の皆さんの懇談会や技術交流会といった取り組みを進めていく。」と意気込みを述べた。
来賓を代表して上田洋二 経済産業省大臣官房審議官が、「今年は、大きな変化の1つとして10月に消費税の10%引き上げの見通しがある。国民生活や経済活動に混乱が生ずることのないよう、さまざまな対策を講じていく。また、世界に目を向けると、保護主義的な動きが広がる中、日本は自由貿易の旗手として、主導的な役割を果たす必要がある。昨年末に発効したTPP11のさらなる拡大を目指し、また、本年2月に発効する日EU・EPAと共に、これらを活用した、特に中堅・中小企業の海外展開を積極的に支援していく。また、我が国経済は大きな変革期に直面をしており、AIやIoTなどを活用した最先端技術の進展によって、産業やものづくりの在り方そのものが大きく変わろうとしている。環境・エネルギーの制約、少子高齢化、人不足といった社会構造の変化への対応は待ったなしである。 これらの社会課題を解決し、世界に新たな成長モデルを示していけるよう、経産省としてもコネクテッドインダストリーズの実現など、世界をリードする挑戦に産業界の皆さまと共に果敢に取り組んでいきたい。」とあいさつをした。