今や生産性革命への取組みは、世界各国において喫緊の課題として認識されている。ドイツが数年前に打ち出した“インダストリー4.0”の概念に触発された日本や米国、中国も次々と国家プロジェクトを打ち出したことは記憶に新しい。現在、IoTやAI技術を活用したスマート・マニュファクチャリングの実現を図る取組みは各国で競われており、デジタル時代を勝ち抜こうとしている世界中の企業は熾烈な覇権争いの中にいる。
この時代において、現在、“地上で最も重要な製造業”と言わしめ、世界中から注目されている企業といえば、レモンイエローが印象的なファナックだ。1972年の設立以来、強力な開発力を基盤に発展を続けてきた。富士山麓に展開する標高1,000メートル、広さ53万坪にわたる雄大で四季折々に美しいファナックの森には、本社、研究所、工場、テクニカルセンタ、ファナックアカデミ、厚生施設などが設置されている。普段は滅多に足を入れることが出来ないファナックの森を訪ね、今回、稲葉会長が考える製造業の現状と課題、未来像などを伺い、同社の自動化生産ラインを見学した。