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不良開業医には行政処分を求む

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 近所の町医者とのやりとりで、大きなダメージを喰らった。重篤な症状のため約1カ月もの間、廃人同様の生活を送っていた。

 既に発行しているベストブック社の月刊ベルダ9月号にもこの件についてコラムを書かせていただいたが、文字数に限りがあるため、かなりの部分を割愛した。まだまだ書き足りない。それほど怒りの炎はいまだに燃え上がっている。

 おそらく、わたしのような経験をした方は日本中にいるだろう。特に地方にいけばその被害は多くなると推測できる。実際に、わたしの生まれ育った田舎では、なぜかメモをするだけでこっぴどく叱られた。患者やその家族の質問に答えられずに逆ギレした医師もいた。横柄なキャラを剥き出しにしても、「先生、先生」と神のように崇められる。理由は、「診てもらえなかったら困る。」からだ。もちろん善良な医師もいたが、こうした不良医師の独善的な振る舞いに遭遇したのは事実である。それももう過去の話だが。

 わたしが今回経験したことは大都会東京で起きた話だ。上京してからというもの、こうした地方にありがちな町医者に遭遇するどころか、どの医師も親切だった。疑問に思ったことや分からないことなど、親切に説明してくれた。都内で引っ越しを数回繰り返したが、その度、近所にあるかかりつけ医を見つけては、頭が痛いだの、熱があるだの、お腹が痛いだの、といっては診ていただいた。医師もヤバめな病が潜んでいる可能性を感じたならば、専門医が在籍し、検査設備のある大きな病院へ行くようにと速やかに紹介状を書いてくれた。

 少々前置きが長くなったが、ここからが本題だ。
 7月に高熱が出たため近所の診療所に診てもらった。このクリニックは、今から5年ほど前に開業した内科クリニックだ。立地条件も良く、最寄り駅のすぐそばにある。自由診療でプラセンタも処方し、また、疲労困憊時にはニンニク注射も打ってくれる。肌と肝臓に効果的なプラセンタと馬力アップのニンニク注射に魅力を感じたわたしは、そこに通っていた。

 今年は5月から休みがなかなか取れず、いつもは風邪の症状が出た場合、このクリニックとは別の病院に行くのだが、時間の余裕がなかったのでプラセンタの処方と同時に手っ取り早く診てもらった。6月も同様の理由でこのクリニックの診察を受けたときに、肺炎になりかけていると指摘され、仕事をキャンセルし、休養したところ、すっかり回復してしばらく経ったのちの出来事だった。

 今回は、熱も高く、39℃という数値を叩きだしたが、医師によると、「風邪の症状」ということで薬を処方された。ところが一向に熱が下がる気配もない。激しい咳も止まらない。夜中になれば症状はより悪化し、咳が止まらず満足に眠ることもできなくなっていた。

 これはおかしいぞ、と思い、再度、診察をしてもらい、レントゲンを撮ったものの「異常はありません。薬を飲んで寝ていればそのうち効いてきますよ。」とはっきり大事には至っていないと説明を受けた。とりあえず安堵したわたしは、処方された大量の薬を枕元に置き、布団に潜って手負いの熊のごとく症状が回復するのをじっと待ったが、この時、すでに息苦しさを感じ、口からでた言葉も空気が漏れている感じでスッカスカだった。もちろん食欲もないので、ポカリスエットやおかゆで肉体の維持に努めた。

―――そうして己人生、最大のピンチとなる重篤な症状がいよいよ現れる。

突然、味覚と嗅覚が消え、絶望のどん底に

 若干熱も下がり、肉体的な苦痛から少し解放され、食欲が出てきた。それまでは食欲もなく、風邪特有の症状で味覚が鈍くなっていたのは分かっていたが、全く味が分からないことに気付いた。症状が回復しつつあるのに、食べ物を口に入れると、プラスチックやゴム、砂を噛んでいるような感覚なのだ。風邪をひいたら味が分からなくなる、という症状が出るが、そんなものとは比べものにならないほど、突然、味が消えたのだ。単なる工業製品を噛んでいる感覚はとても気持ちが悪く、生まれてから一度も経験したことがないものだった。

 さらに追い打ちをかけるように匂いを感じなくなっていることにも気付いた。お風呂に入っても入浴剤の香りがしない。シャンプーの香りもしない。マッサージ用のオイルも無臭。焦ったわたしは、さらに匂いのキツイ香水を大量にふりかけてみたものの、香りを認めることができなかった。鼻呼吸はできるので、すぐに「嗅覚をやられた!」と焦った。

 散々調べたところ、ウィルス等が嗅粘膜や臭いを感知する神経にダメージを与えると、完治するかどうかも分からないほど、予後が悪いらしい。一刻も早く治療をしなければ、回復が遅れて治らない可能性が大きいと知った。また回復をしても完治するまではいかず、人によっては臭いや味が腐ったもののように感じてしまう深刻な症状が出る場合もあるらしい。

 これはただの風邪ではない、と確信したわたしは、検査設備のある大学病院の耳鼻咽喉科に診てもらうべく、紹介状を書いてもらう準備をして、再度クリニックに向かった。単なる風邪と診断したこのクリニックには、レントゲンくらいしか設備がない。一連の深刻な症状を訴えた段階で「すぐに紹介状を書くから専門医の所へ行ってください。」と指示されるものだと思っていた。

 ところが――医師の反応は信じがたいものだった。
 「こんなに抗生剤を飲んでいたら、風邪なんて治らないよ。」と言い放ったのだ。

本性を現した不良医師のトンデモな言い訳

 処方したのは紛れもなく、この医師である。さらにたたみかけるように「これは鼻炎なの。大したことがないから、うちでも薬を出せるし、紹介状は書きたくない!」とキレ気味に退けた。おまけに責任を追及しているわけでもないのに、「ぼくは悪くない。」と、きた。

 こちらの疑問に応えることなく、一方的に、「6月にも抗生剤を飲んで、きちんと休まなかったから風邪が悪化したんだ。だから大学病院に行くほどでもないし、紹介状は書きません。大したことないんだよ、大げさな。」と、嗅覚と味覚に異常が出たことを一蹴し、「だいたいこんな症状で大学病院の耳鼻咽喉科に行ったって医者は診たがらないよ!」という信じ難い理屈をまくし立てた。

 大学病院が正当な理由もないのに診療拒否等があれば大問題だ。そんなことがあるわけがない。味覚も嗅覚もやられて精神的なダメージを負っている患者に向かってこの言葉はないだろう。

 「本性を現したな! この不良医師め!」(←わたしの心の声)

 すっかり忘れていた6月のことを持ち出した医師。しかしながら、この医師本人が以前、6月のものはすでに回復していると自ら説明している。これについて質問すると、「いいや、6月から繋がっているんだよ!」とこれまた全く違う説明を始めた。「抗生剤を飲みすぎなんだよ。それに仕事したでしょ? 治らないのは当然なの!」と声を荒げた。こちらが抗生物質を出してくれとも頼んだ覚えもないのに、なんて言い草なんだ。わたしは医師ではないので、全てはこの医師の指示を信用して薬の処方に従っただけであり、おまけに6月のものは、仕事もキャンセルして休養し、すっかり回復しているのを認めているはずだ。一体何を言っているんだ? 

 自らが抗生剤を処方しておきながら、「抗生剤の飲みすぎで風邪は治らない。」、「単なる鼻炎だ。」とは一体どういうことだ。風邪が治らないのを分かっていて抗生物質を出したということではないか。6月のものはてっきり回復しているのに、6月からずっと風邪が続いていると主張するし、支離滅裂でまったく理解できない。挙げ句の果てには、「この程度では大学病院も診たがらない。紹介状は書かない。」だと? これほど深刻な症状が出ているにも関わらず、「大したことない。」とは!

 不良医師はどうしても紹介状を書きたくないと態度で示した。何度も、「こちらは風邪の症状でお願いしているわけではない。嗅覚と味覚に異常な症状が出たので、専門医のいる大学病院で診察をお願いしたいのだ。」と怒りを抑えつつ当たり前のことをお願いしているのに、話の趣旨を変え、「あなたが悪い。」と牽制するあたり不信感が募る。常識ある医師なら、検査設備の整った病院へ行くよう勧めるだろう。耳鼻咽喉の検査設備もないのに、よくいうよ、と怒りの炎がメラメラと燃え上がる。

 この腹立たしいやりとりは、1時間近く及んだ。医者とのやり取り中に、待っている患者が気になり、紹介状なしで大学病院に行こうかと一瞬迷ったが、こんなデタラメを納得するわけにもいかず、割り切って交渉を続けた。

 「向こうの先生に、クリニックでは親切丁寧に診察をしてくださいました。仕事も忙しく、抗生剤を飲み過ぎた私がよくないのです。と、こちらからもきちんと説明しますよ。」(←もちろん嘘)

 一か八かで、こんなくだらないことを言ってみたところ、「分かりましたよ。紹介状を書けばいいんでしょ、書けば。書いてあげますよ。」と、ようやく投げやりにも紹介状を承知したというパンチの効いた思考回路を見せつけてくれたトンデモ医師の態度に、(なんて単純なヤツなんだ)と、こいつの考えていることが透けて見えた。つまり、自分の診察に自信がなく、それを指摘されるのを恐れていただけだの話じゃないか! なんで深刻な症状を抱えているわたしが、犬のエサにもならぬ、ちっぽけなプライドに振り回されなきゃならんのだ!(怒)

 腹立たしいのはそれだけではない。しぶしぶ紹介状を書いてくれたものの、撮ったはずのレントゲン画像は添付されておらず、指定した医師名も「書きたくない。」という理由で却下された。崩壊した論理でも、押し付ければ患者は黙り込むと本気で思っているとしたならば、とんでもない医師である。

 2年ほど前にクリニックの正面ガラスが大きな石で割られていたことを思い出した。今考えると、患者とモメ事でもあったのかもしれない、と邪推してしまうのも当然だ。そんなことを思い出しながら、紹介状があればなんとか午前の初診に間に合う! と、放たれた弾丸のように大学病院へ向かった。もう、二度と、こんなクリニックには通うもんか!
 
 大学病院では希望した医師でなかったが、きちんと診察をしていただいた。当初は、「時間がかかるかもしれませんが、気長に治しましょうね。」と言われ、ステロイド治療が始まった。完全に治るかどうかも分からず、布団の中で連日泣いた。

 食べ物が美味しく感じられない、匂いが分からない、となると生活の質は著しく低下する。食べることがなにより好きなのに、これからなにを楽しみにすればいいのか。美味しいそうな肉の焼いた香りも、リフレッシュするためのアロマオイルの香りも分からない。疲れを癒やす入浴剤も、テンションを上げるための香水の匂いも、飼い猫のトイレの臭いすら分からないとなると、トイレを汚されても気付かないままだ。洋服に付いた臭いも分からないので外出の際は注意が必要だし、腐ったものを知らずに口にするかもしれない。そして、なにを食べても飲んでも、味がない。五感の一部が消失するという絶望感たるや筆舌に尽くしがたいものだった。

 そうして、しばらくステロイド等の投薬治療を続けたのち――――。

 なんと! 奇跡的に回復したではないか。(回復に至った経緯と歓びは後日ブログに掲載します)

 医師によると、治療が早かったことも今回の回復に結びついた可能性があるとのことだった。遅くなると臭いが完全に戻らないケースも多々あると聞いた。これを聞いたときは、あのデタラメな不良開業医に対して無性に腹が立った。もし、あのとき輩のいいなりになっていれば、おそらく嗅覚・味覚に障害が残っていただろう。不良医師の独善的なしょぼいプライドのせいで、落ち度のない患者が診療の選択を狭められ、振り回されるということがあってはならない。

トンデモ開業医にはペナルティを!

 紹介状は診療情報提供書のことだが、これは患者が依頼をすれば医者は作成する義務があり診療行為であるはずだ。これを作成すれば診療報酬を得られ、患者は遠慮することなく依頼できる。診てもらいたい病院名、診療科のほかに医師名まで書いてもらうのがポイントで、医師名まで書くのは病院の受付で振り分けられないようにするためである。医師が紹介状の作成を拒むのは正当な理由がある場合だけだ。

 クリニックの開設許可を出す保健所は、監視・指導の役割があるはずなので、紹介状を正当な理由なく拒否した場合はどうするのか聞いてみたところ、「保健所は医師と患者間の話に口を挟むことはできない。」とのことだった。

 医師法や医療法に抵触するようなことがあっても行政指導もできないとは驚いた。最近のニュースでも感じたことだが、行政が口出しできない理由はなんなのか。例えば、飲食店で食中毒が出た場合、店は営業停止の処分を受けるのに、これはおかしな話だ。

 この流れこそ諸悪の根源で、医療現場の不祥事を加速させる一因ではないのか。人の命や人生を大きく左右する医療の分野だからこそ、厳しい法の監視下に置くべきで、そのためには法改正をして罰則規定を厳格化し、問題医師を厳しく処分することがあってもよいはずだ。

 なお、問題医師が言い張っていた〝単なる風邪〞は肺炎だったことが判明した。どおりで声がスッカスカだったはずだ。鵜呑みにしていたら専門医に診せることもなく、ますます障害が残っていた可能性が大だ。

 法に触れる行動をすれば罰を受けるのは当たり前のことで、今回のように誤診の挙げ句、患者の疑問に応える義務を放棄しておきながら、患者の権利を踏みにじり、正当な理由もなく紹介状を書かない医師には何日かの診療停止処分があって当然だ。罰則がないからといって、不良開業医に好き放題されたら、たまったものではない。こんなことがまかり通ると、患者は大事に至る前に予防すらできなくなる。


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