ネットで買い物をした。品物は化粧品。
実はこの7月、体調不良でかなり長く床に伏せていた。プライドの高い町医者の誤診から始まり、肺炎と嗅覚障害、味覚障害を経験した。1カ月近くも行動を制限せざるを得ない状態に陥り、思い出してもムカムカするのだが、貴重な経験となったのでこの件については後日掲載するとして、今回は気持ちの悪い個人情報のやりとりについて書くことにする。
というわけで、話を本題に戻す。
床に伏せていた時間が長く、行動も制限せざるを得なかったわたしは、ちょいと気になることがあった。お肌のお手入れをサボると、皮膚が乾燥して萎み、ガサガワのシワシワになってしまうことだ。それなのに、クリームも化粧水もすっかり切らしてしまった。しばらく39℃の高熱でうなされていたこともあって、長年生きてきた古い女の肌の傷み具合はなかなかのものだった。気が付けば唇もガサガサだ。
そこで、布団の中でスマホを眺めながら、皆さまお馴染みの大手ポータルサイトが運営しているインターネットショッピングモールの中から、某ショップに愛用している化粧品を注文した。このショップを選んだ理由は、口コミの評価が高かったからだ。
支払い方法は、コンビニ後払いにした。ネットショッピングのコンビニ後払いは請求書が届いたら、その請求書をコンビニのレジ担当者に渡すだけで良いので、こちらとしては案外便利なのだ。しかも、今回は、“手数料無料”と目立つように記載してあった。これはラッキー!
突然ゲリラ的にやってくる詐欺ソックリの手口
それから数日後、スマホに怪しいショートメールが入ってきた。
どう見たって怪しいだろう
「〇〇〇カード(株)です。コンビニ後払いの件で確認があります。恐れ入りますが、045-〇〇〇-〇〇〇3へ連絡お願いします。10:00~19:00」とある。
こちらの名前も記載しておらず、発信元を示す顔丸の下には0032からはじまる数字の羅列があった。
〇〇〇カードなんて会社は知らないし、使った覚えもない。一方的に怪しげなショートメールを送っておきながら、連絡をして欲しいとは。電話代をケチるという、詐欺特有のみみっちさも透けて見える。こんな怪しいメールに折り返し電話するほうもどうかしているので、放置した。
すると数時間後、今度はスマホが鳴った。電話に出ると、〇〇〇カードだった。「あなたは那須直美さんですか。ネットで〇〇〇(←ネットショップ名)で買い物をしましたね。ネットショッピングでコンビニ後払いを指定したので、本人確認のお電話をしました。最近詐欺が横行しているので念のために」との旨だった。
――――詐欺はオマエだろ!(怒)
ニュースでよく聞く詐欺の手口そっくりじゃないか。わたしは詐欺の地雷を踏むまいと、乱暴に電話を切った。
としつつも、ちょいと気になるので、このカード会社が存在するのか調べてみたところ、ありましたよ、ありました! 昭和の時代を生きてきた中年のわれわれにはピンとくる、そう、昔は“サラ金”と言っていたあの会社。今ではすでに死語となってしまったけれどサラ金よ。
本人の知らないところで情報のやり取りが?
まず、取引のないカード会社が、ショートメールで購入者の名前も書かずにあのような文言を送りつけてくる自体が理解できない。折り返し電話をするのも気味が悪いので放置していたところ、今度はスマホに本人確認の電話をよこしてきた。なお、今まで、ネットショップでコンビニ後払い(NP後払い)を指定しても、このような問題は一度もない。
体調不良の最中、大手ポータルサイトに、「このネットショップが存在しているかどうか。」を尋ねたところ「存在している。」とのことだった。加えて「この詐欺の手口そっくりの流れでは、ショップが詐欺なのかどうか判定できない状況なので指導をしていただきたい。」旨を述べたところ、「お客様よりご連絡いただきました件につきましてはガイドラインに照らし確認いたします。弊社にてガイドラインに違反すると判断した場合は、ストアの利用制限など、規定に則り対応いたします。」と返答をいただいた。一方、昔のサラ金と繋がっていたネットショップにはこの流れについて穏やかに苦情を申し入れたところ、早急にお詫びとご丁寧な返答をいただき、支払い方法を代引きに変更することができた。
だが、知らない会社へ個人情報をダダ漏れさせるのは、すでにこのご時世、やってはいけないことの一つだ。このネットショップが、手数料無料のコンビニ後払いについて“カード会社”から本人確認の連絡が来るとはどこにも記載していなかったことに問題がある。なにより、こちらが与り知らぬところで自分の情報がやりとりされるのは気持ちが悪いものだ。しかも、それが昔のサラ金だったらなおさらである。もちろんこうした金融会社も人によっては助け船となったことは否定しないが、あまり良いイメージがないので本音をいえばかかわりたくない。
いくら繋がる社会とはいえ、不要なものとは繋がりたくないのは当然だ。ネット販売において本人確認を求めるのであれば、しっかりショップ側が購入の手続きに当たって、「コンビニ後払い指定した方は〇〇(カード会社名)から本人確認の連絡を行います」とショップが連携しているカード会社名を記載すべきだろう。そうしたら消費者側もうっかり自分の知らないところで個人情報を流失させる危険は減少するだろう。
この一件で、昔のサラ金と呼ばれる会社が化粧品を販売する某ネットショップの料金収納代行を請け負っていたが、通常、料金収納代行は手数料で儲けるものである。このカード会社は、すでに世では行き渡っているコンビニ後払いに、“手数料無料”をエサにして、それに食いついた消費者に電話をかけた。つまり今回、このカード会社での目的を探ると、個人情報の収集そのものだったのじゃないかと疑いたくもなる。
ネットショップで買い物をしたばかりに、かかわることのないワケのわからぬ会社や、ひょっとしたら反社会的な会社など、つまりは半分黒い企業から、営業のメールや電話、DMが絨毯爆撃のようにやってくることも簡単に想像できるわけで、ゾッとする。
本人確認という名のもと、あの手この手で個人情報を仕入れる様を垣間見たが、繋がる社会がトレンドになっているとはいえ、まだまだ法の整備や責任の所在をどうするか、が、ついていかないのが現状だ。対応が急務であると感じている。
このご時世、気持ちの悪いことが増えた。