日本工作機器工業会(会長=寺町彰博 THK社長)が、1月17日、都内の芝パークホテル別館で賀詞交歓会を開いた。
平成29年秋の褒章で藍綬褒章を授章した寺町会長はお礼の言葉を述べたあと、「私どもは古い産業と思われているところもあるが、どんなにITが普及しAIが進展しロボット化されようと、部品がきちんと供給されないと高精度なものができない。ものが多く使われるようになるために、また小型・微細化に進んでいくためにわれわれが日夜、研鑽を積んで、さらに良いものをさらに提供していかなくてはならない。そういった産業をわれわれが支えていくという自負をもっていければと思っている。今、日本の設備投資産業は自動化ロボット化が進んでいる。また人手不足もあり自動化は避けられず、機械の高度化が進んでおり、まさにわれわれがその成長の趨勢を握っている。」と述べ、2017年度の販売額について、「昨年は1900億円を超えるのではないかと話したが、10年ぶりに2000億円台に到達できた。」とし、今年の予想については、「まだ集計中だが、日工会が1兆7000億円、ロボット関係団体が1兆円、半導体製造装置関連が2兆1600億円という数字を挙げている。したがって2007年の過去最高の数字をオーバーする数字を今年は達成しなければならない。その覚悟をもって、当工業会は日々生産と販売に努力をしていきたい。今年は元気をもって需要に応えていく。」とした。
続いて正会員の入会の報告があったあと、来賓を代表して片岡隆一 経済産業省 製造産業局 産業機械課長が、「アベノミクスが始まって5年が経ち、企業業績も過去最高水準、正社員向け有効求人倍率も1倍を超えている。この1倍超えはバブル期に遡るわけだが、バブル期とは明らかに状況が違う。足元は総人口の減少に留まらず、労働力人口の減少もいわれている。女性、高齢者、障がいのある方等、様々な社会参加・労働参加を勧めてもなお、この労働力減少については難しいだろう。2017年当初は、トランプ政権が登場したのでどうなるかわからない、ブリジクトがあるので、世界は保護主義化に向かうのではないか、というリスクのある話が多かったのだが、これを吹き飛ばす形で、様々なところで設備投資に対する意欲が出てきた。結果として工作機械、半導体製造装置、ロボット、産業機械等、ほとんどのところで前年比増の出荷額並びに受注額を記録している。工作機械、半導体製造装置に至ってはリーマンショック前の数字を超えている。日本国内は製造しようにも人手不足という状況だ。本当の意味のデフレ脱却を実現するには、将来に向けた省力化のための設備投資を実現していく。これは待ったなしの課題であり、そうしたものの機械部品であるボールねじ、リニアガイド等の供給がとにかく足りない、ということになると、受注が受注のまま終わって出荷に至る前に時が経てばいつの間にか不景気となっても良くないので、皆様方には製造キャパシティを確固たるものにしていただきたい。」とあいさつをした。
乾杯の発声を北川祐治 副会長(北川鉄工所 社長)が行った。宴もたけなわの頃、散会した。