日本産業機械工業会(会長=佃 和夫 三菱重工業相談役)が1月7日、東京港区のホテルオークラで賀詞交歓会を開催した。
佃会長は、「今年は平穏な幕開けをするかと思ったところ株価が大幅下落し、サウジアラビアとイランとの国交断絶。いいよいよスンニ派とシーア派が正面から両派を代表する大国同士が正面からぶつかるという状況になった。挙げ句の果ては北朝鮮までが不穏な幕開けとなった。経済成長については、個々の製品、ハードの開発に加えて、今話題のロボットやIoT、ビッグデータ、artificial intelligence(AI)などの先端技術を取り入れて製品のオペレーションやメンテナンスまでを取り込んだビジネスモデルを広げて付加価値を上げ、その結果として生産性を上げるというイノベーションに取り組んでいく努力をわれわれは続けていきたいと思う。私自身、今後の日本企業最大の不安要素は人材だと考えている。教育は学校で、といって学校に任せるのではなく、インターシップの充実等々、企業が大学生や高校生により積極的に課業して、実業に関心を持って貰いたい。父や母が働いている姿に関心を持ってもらい、できれば実業の世界での野心を持って貰う、という活動が必要なのではないかと考える。老人から若者へ、という投資の配分を替えることにより将来世代への責任を果たすべきだろう。政府においては、法人実効税率20%への引き下げの前倒し、TPP交渉の大筋合意など、経済最優先の政策を強力に推進していただいている。今後ともさらなるご指導ご支援をお願いしたい」とあいさつした。
「未来への投資をしっかりと進める年に」
来賓を代表して糟谷敏秀 経済産業省 製造産業局長があいさつをした。この中で糟谷局長は、「27年度の産業機械工業会関係の受注総額は昨年度よりは若干下回っているようだが、振り返ってみると26年度は7年ぶりに6兆円を超え、リーマンショック以前の水準に迫る勢いであった。今は国内同じような水準で推移をしている。外需の遅れがあったり、新興国の問題を受け弱含みではあるが、健闘している。これは会員各位の努力の賜であろうと敬意を表する次第である。今年はなんとしても景気の緩やかな回復を確実なものにしなければならない年である。かつて6重苦と言われた問題の解決は着実に前進しており、さらに景気の回復を着実な軌道に乗せるためには賃金賃上げを通じて消費にしっかりと火を点けること、投資をしっかりとしていただくことが大切だと考える。第四次産業革命、IoT、ビッグデータ、人工知能等の言葉がこの1年で浸透してきたがこれらを含めた未来の投資をしていただきたいと思っている。これらは最終目的ではなく、これを利用して何をするか、が非常に大切である」と述べた。