日本ロボット工業会(会長=橋本康彦 川崎重工業取締役常務)が、1月10日、東京プリンスホテルで「ロボット関連三団体 新年賀詞交歓会」を開いた。
三団体を代表してあいさつに立った橋本会長は、昨年開催された2019国際ロボット展について、「出展規模が過去最大規模となり、来場者も過去最大の14万1千余名となった。」と盛況に閉幕したことの報告とお礼を述べたあと、世界情勢について、「昨年は米中貿易摩擦の影響が実体経済にも繁栄するなどにより世界的な景気減速が見られ、また年末には英国の欧州離脱が決定的となった。その一方で、米中通商協議の第一弾が昨年末に合意されるということは、世界経済の回復に期待感を抱かせるものであった。」と振り返った。
また、わが国のロボット産業について、「需要の約7割を占めている輸出で、依然としてマイナスの傾向が続いたが、年初を底に年後半よりマイナス幅に改善が見られた。このような状況から、2019年の受注額は対前年度比14%減の8,240億円、生産額においても同様に約14%減の7,800億円にとどまる。」と見通しを示したあと、「自動化に対する潜在ニーズは大変強く、5G関係でも半導体関連の投資も上昇しており、ひとたびきっかけが得られれば、これらの投資が一気に加速することも期待される。このようなことから、本年のロボット受注額は対前年度比6%増の8,700億円、そして生産額も6%増の8,300億円と、昨年からの回復を期待している。」とした。
続いて来賓を代表して高田修三 経済産業省製造産業局長が、「今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年になる。1964年は、これが戦後復興を進める日本を象徴する場にもなった。ぜひ今年も日本のよいところを世界に示していける年にできたらと思っている。」と述べ、地政学的情勢に触れた。その中で高田局長は、「なかなか先が見通せない面もあり、確実に不確実性と背中合わせに過ごしていく時節柄だが、このような中で、大切なことは、変化に対して迅速に対応し、危機を乗り越えていくことだろう。この大きな流れの底流がデジタル化であり、しかも変化のスピードは非常に速い。このデジタルの力を使って製品をパワーアップしていく、あるいはこれを用いて環境問題やイノベーションに取り組んでいくといったニーズに応えていくというトレンドはますます進んでいくと思う。私どもはぜひそういうことを心得て、このデジタル化にふさわしい税制その他を通じた環境整備、皆さまの支援につながるように取り組んでいきたい。」と声援を送った。
小笠原 浩 副会長(安川電機社長)の乾杯の発声で開宴した。宴もたけなわの頃、散会した。