日本機械工業連合会(会長=岡村 正氏)が1月7日、東京港区のホテルオークラで賀詞交歓会を開催した。岡村会長のあいさつの概要は以下のとおり。
第二次安倍政権が誕生して1年が過ぎました。アベノミクスによる円安や株高、財政出動、さらに米国を中心とする世界経済の回復もあって、わが国経済はようやく立ち直り始めています。鉱工業生産や個人消費は堅調に推移しており、企業業績も改善傾向にあります。過去、20年間、幾度となく経済対策が打たれ、構造改革が進められてきたにもかかわらず、デフレの重圧から脱却できず、閉塞感に包まれてきたわが国経済に日が差してまいりました。今後はこの景気回復の動きを以下に民需主導の持続的な回復へとつなげていくか、今年は正念場の年になると言えましょう。
とりわけ政府の役割は重要であります。喫緊には今年4月からの消費増税への対応も踏まえて13年度補正予算等により切れ目のない公共投資で景気を下支えして頂く必要があります。また、先月産業競争力強化法が成立しましたが、「日本再興戦略」に盛り込まれた政策を早期に、確実に実行していただくことが大変重要です。規制緩和や企業支援等の効果により産業活動が活発化して景気回復がさらに拡大し、雇用や消費の拡大という経済の好循環に繋がってまいります。
企業の事業環境を国際水準まで改善していただくことも重要です。現政権になって、円高の是正、FTAやTPPなど自由貿易協定交渉の推進、経済成長と両立できる温室効果ガス削減目標の再設定など、事業環境改善のための努力が積極的になされておりますが、法人実効税率の引き下げや研究開発支援の拡大など税制改正、原子力発電所の再稼働も含めた電力供給の安定化、優秀な人材育成への取組など、さらなる実行を願いしたいと存じます。もちろん、東日本大震災からの復興は最優先の課題であります。震災発声から1000日が過ぎましたが、未だに復興途上の地域や企業は少なくないと聞いており、被災地の復興に向けて可能な限りの対応策が講じられることが必要です。
一方、われわれ企業の役割も大変重要です。機械工業界は厳しい経営環境が長らく続いてまいりましたが、イノベーションや合理化など懸命な企業努力に加え、産業政策の後押し効果もあって、ようやく業績改善傾向が出て参りました。今後も緩むことなくイノベーションを進め、新技術開発、付加価値創出、生産性向上に努めるとともに、メーカーの知見やシーズを活かして新たな需要を創出することにより、国内のものづくりを維持し、産業浮揚を図ることが重要です。
機械工業界は、わが国産業の中核としての意識をもって、この大事な時機に政府の施策を生かしつつ、今後の日本経済の繁栄の礎を再構築指定校ではありませんか。
「生産活動の活性化が重要」
来賓を代表して宮川 正 経済産業省製造産業局長が、「安倍政権が一昨年末に発足し、昨年は着実な景気回復を図ってきたのではないかと思っています。今年は景気回復を実感できる年にしたい。経済の好循環のためには、企業の収益を拡大し、賃上げを図り、消費設備投資の拡大を図るといった経済の好循環をしっかりとしたものにしていくのが今年1年の目標ではないかと思っております。安倍政権ではこれを実行するために、国会において5.5兆円の経済対策を打ちつつ、また税制対策もしっかりやっていくとしています。また、今年の4月消費税が5%から8%に増税になりますが、駆け込み需要増、そして反動減、が予想されます。今、経済対策をしっかり打つことによって、この山と溝を少しでも小さいものにしていくことが必要であり、このような経済対策以外にも、法人税の実効税率を2.4%下げていく、1兆円規模の投資減税をしっかりと実現していく。政府といたしましても、マクロ政策、ミクロ政策含めて経済のリスクを小さいものにしていきたい」と述べた。
続いて、日機連の顧問を務める黒田東彦 日本銀行総裁が、「日本経済は昨年順調に回復を続けています。今年は4月の消費税率の引き上げという影響をどのようにこなしていくのかがポイントになる。私ども日本銀行では日本経済の回復力は十分あって、消費税も引き上げを十分消化して潜在成長率を上回る成長が2014年度も続くだろうとみております。その中で日本経済がさらなる飛躍・発展をしていくためには、これまで出遅れていた生産活動がかなり高まっていくことが重要だと思いますし、企業収益の増加が家計の所得増加に繋がり、それがまた消費の増加、それが経済全体の好循環に繋がっていく。皆様方の強いリーダーシップに期待しています」とあいさつをした。