日立建機(社長=平野 耕太郎氏)がこのほど建設機械の将来の可能性を示す、四脚クローラ方式を採用した双腕型コンセプトマシンを開発した。
今回開発したコンセプトマシンは、建設・土木および鉱山、解体、林業、産業廃棄物の処理、金属リサイクルなど、さまざまな業種で活用される建設機械の作業領域が、将来、広がっていくことを見据えて開発したもの。従来の油圧ショベルにおける2 クローラ方式では、機械本体を水平に保つことが困難だった傾斜地や不整地などでも安定した作業が可能となるよう、四脚クローラ方式を採用している。4 つの各クローラユニットは、それぞれが独立して可動し、上部旋回体の安定性を向上する。
また、将来の建設機械に求められる技術として、作業装置であるフロント構造物の軽量化にも挑戦た。ブームおよびアーム、フロントアタッチメントといった建設機械のフロント構造物は、耐久性向上のために年々重量が大きくなっているが、機械自体の安定性や作業性、燃費を向上させる面においては、負荷となる。今回開発したコンセプトマシンでは、アームおよびアタッチメントをアルミ合金化し、軽量化を図ることで、1 クラス上の作業能力を発揮することを可能としている。
同社は、『「機械」を進化させ、豊かな生活空間をつくる「ひと」と「作業」の関係をより快適に、より高度に、より効率的なものする』という理念の下、油圧ショベルをはじめとする建設機械の開発を創業以来進めている。掘削機械として開発された油圧ショベルは、今日、解体および林業、産業廃棄物の処理、重量物のハンドリングなど、多くの用途で使用されている。
これまでもさまざまな業種の顧客からの作業ニーズに応えるため、油圧ショベルを基にした多くの応用開発製品を提供してきた。2005年には、これまでの製品開発・設計における経験・ノウハウを生かし、油圧ショベルでより複雑な作業を可能とすることをめざして、作業装置であるブームおよびアーム、フロントアタッチメントからなるフロント機構を双腕化した「アスタコ」シリーズの第一弾を開発した。その後、2012年にZX135TF-3「アスタコNEO」を製品化するなど、作業性の追求を進めてきました。
「アスタコ」シリーズは、2003年に将来に向けた従業員の技術研鑽を目的とした社内公募制プロジェクトにより開発が始まった。その後も、「建設機械のロボット化への挑戦」として、 シリーズの開発を継続し、震災被災地での復興作業をはじめ、社会課題の解決に貢献することを目的に、さまざまな作業への適用する開発を行っている。今回開発したコンセプトマシンの開発も、社内プロジェクトへの応募から始まったもので、若い技術者たちによる「こんなものを作りたい」という想いが結集したものであり、これからも企業理念に則した研究・開発を行い、「建設機械のロボット化」へも挑戦していくとしている。