「果敢にチャレンジする企業を応援」
●経済産業省製造産業局 産業機械課長 須藤 治
平成26年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
昨年末、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略のアベノミクスの「三本の矢」により、我が国経済は着実に回復しつつあります。本年は、こうした動きを確実な成長軌道へつなげていくために「民間投資を喚起する成長戦略」を推し進め、長期にわたる低迷から復活に向けて歩み始めた我が国製造業の振興を強力に進めたいと思います。
昨年12月に成立した産業競争力強化法には、成長戦略の確実な実行を図るため、企業の技術力や創意工夫を生かした新たな規制改革の道筋を創設する「企業実証特例制度」や「グレーゾーン解消制度」、事業再編の促進等の諸制度が盛り込まれています。また、民間投資活性化等のための税制として「生産性向上設備投資促進税制」の創設、「中小企業投資促進税制」の拡充を措置いたしました。
本年4月には消費税率引き上げが予定されており、増税後の反動減も懸念されているところですが、こうした影響によって景気の腰折れやデフレ脱却に向けたチャンスを逃してはなりません。そのため、上記の各種支援策を講じて国内景気の下支えや、果敢にチャレンジする企業を応援してまいります。
また、アジアを中心とする新興国の成長を取り込み、日本の優れた技術を世界に提供していくことも重要な課題です。そのため、最先端のインフラシステム輸出や国内外の企業の連携等による海外展開を後押しすべく、関係部署とも連携しながら、トップセールスや海外進出のための環境整備等を積極的に実施してまいります。
一方、中長期的な視点に立つと、我が国は高齢化や労働力人口の減少、エネルギー供給不安といった諸課題に囲まれており、課題先進国であるという状況に変わりはありません。こうした中、世界中の国々は、日本が如何に対処するのか注目をしています。そのため、今後ともこういった課題を解決していくと同時に、新しいビジネスをいかに創出していくのかということが益々求められています。
その一例として、昨年6月に閣議決定された日本再興戦略には、当課が厚生労働省とともに進めている「ロボット介護機器開発5カ年計画」が盛り込まれています。今や団塊の世代が65歳以上となり、今後10年間で日本の総人口に占める高齢者の割合は30%に達します。そのため、介護を巡る様々な課題に対して有効な手段を講じていくことが急務となっています。今後こうした課題解決の一端をロボット技術が担うとともに、関連するロボット産業がさらに発展するよう、各種施策を実施してまいります。
産業機械課は、これからも皆さんの生の声を聞き、それを産業政策に反映させていきたいと思いますので、良いアイディアやお困り事があったら、気軽にお声を掛けてください。
最後になりましたが本年が皆様方にとって更なる飛躍の年となりますよう祈念いたしまして、新年の挨拶と代えさせていただきます。
「今年は正念場の年」
●日本機械工業連合会 会長 岡村 正
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、お気持ちも新たに新年を迎えられたことと存じます。
年頭にあたり、平素より日本機械工業連合会にお寄せ頂いております暖かいご協力とご支援に対し、心より御礼申し上げます。
さて、第2次安倍政権が誕生して1年が過ぎましたが、アベノミクスによる円安や株高、財政出動、さらに米国を中心とする世界経済の回復もあって、我が国経済は漸く立ち直り始めております。昨年7-9月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は、4四半期連続してプラスとなり、今後も成長率の回復が予想されています。企業業績は改善傾向にあり、有効求人倍率は増加し、鉱工業生産や個人消費も堅調に推移しております。今後はこの景気回復の動きを如何に民需主導の持続的な回復へと繋げていくかが重要であります。
過去20年間、幾度となく経済対策や構造改革が行われてきたにも拘わらず、デフレの重圧から脱却できず、閉塞感に包まれてきた我が国経済に漸く薄日が差してまいりました。我が国を巡る社会経済環境には今なお課題が山積しておりますが、アベノミクスで世界が注目するこの時期を逃すことなく、政府、企業、国民が一丸となり、諸課題の解決に全力で取り組み、我が国経済を快晴へと導くための一歩とせねばなりません。その意味で今年は正に正念場の年になると言えましょう。
とりわけ政府の役割は重要です。喫緊には13年度補正予算等により切れ目のない公共投資で景気を下支えしていただく必要があります。また、「成長戦略」に盛り込まれた政策を早期に、確実に実行していただくことが大変重要です。規制緩和や企業支援等の効果により産業活動が活発化して景気回復が更に拡大し、雇用や消費の拡大という経済の好循環に繋がります。
少子高齢化が進展する中、社会保障費は増加を続け、国の借金は1,000兆円を超えており、持続可能な社会保障制度の構築と中長期的な財政健全化の早期実現も欠かすことができません。その一環として今年4月より実施される消費増税は国民に負担を課すものでありますが、政府には国民の理解を得られるよう、皆が安心できる社会システムを可能な限り早期に構築していただく必要があります。
ここ20年間、我が国の事業環境は欧米や新興国に比べて相対的に劣化してきた感がありますが、最近に至って円高の是正、FTA、TPPなど自由貿易協定交渉の推進、経済成長と両立できる温室効果ガス削減目標の再設定など、事業環境改善のための努力が積極的になされております。今後は、法人実効税率の引き下げや研究開発支援の拡大など税制改正、原子力発電所の再稼働も含めた電力供給の安定化、優秀な人材育成への取組みなど、国際水準の事業環境の整備に向けて、更なる実行をお願いしたいと存じます。
勿論、東日本大震災からの復興は最優先の課題であります。震災発生から1,000日が過ぎましたが、未だに復興途上の地域や企業は少なくないと聞いており、被災地の復興に向けて可能な限りの対応策が講じられることが必要です。
我々機械工業界では厳しい経営環境が長らく続いてまいりましたが、イノベーションや合理化など懸命な企業努力に加え、産業政策の後押し効果もあって、漸く業績改善傾向が出てまいりました。今後も緩むことなくイノベーションを進め、新技術開発、付加価値創出、生産性向上に努めることにより企業体質を強化していかねばなりません。また、メーカーの知見やシーズを活かして新たな需要を創出するとともに、変化する市場の需要動向を的確に捉えて成長分野を取り込むなど自らの構造改革が進めることも必要と考えます。
機械工業界としては、我が国産業の中核としての意識をもって、この大事な時機に政府の折角の施策を生かしつつ、今後の日本経済の繁栄の礎を再構築していこうではありませんか。
日本機械工業連合会では、我が国機械工業の競争力を維持、発展させていくための課題に鋭意取り組んでおります。本年も、技術の流出防止や世界製造業のパラダイムシフトへの対応調査、理数系グローバル人材の育成・教育調査、機械の安全対策や標準化調査等に加えて、産業用省エネ機器や先進ロボット等の表彰など、会員各位の企業経営にとって密接な事業に取り組むとともに、税制面での改善方策など機械業界の事業環境改善に向けた要望や政策提言などを行って参ります。また、会員講演会、セミナー、シンポジウム等を適宜適切なテーマを選択して開催し、機械業界への最新情報の提供に務める所存です。
昨年は我が国経済の回復とともに、会員各位の事業環境にも漸く改善の兆しが見られ始めと思われ、更なる景気の回復を期待し、気持ちも新たに今年をお迎えのことと存じます。
日本機械工業連合会は、新たな時代に求められるニーズに対応し、皆様と産業界の利益のために誠心誠意努力を続けたいと存じます。
皆様の一層のご活躍とご健康を心から祈念申し上げます。
「日本企業の生産性向上を目指すために」
●日本産業機械工業会 会長 佃 和夫
平成26年を迎えるに当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、歴史的な円高の是正、株価の上昇、企業収益の改善等、アベノミクス効果等により経済環境は大きく改善されましたが、設備投資に力強さが見られない等製造業の回復の勢いは弱い状態にあったため、景気の方は緩やかな回復に留まりました。一方で、TPP交渉への参加や2020年の夏季オリンピック・パラリンピック招致決定等は、経済の先行きに対する期待感を高めました。
我々産業機械業界の平成25年度上期の受注は、受注総額がリーマン・ショック前の7割弱という水準ですが、ようやく明るさが見え始めました。内需は製造業からの需要に力強さを欠いたものの、非製造業と官公需が牽引する形となり、2年ぶりに前年を上回りました。また、外需も主力のアジアに加え、中東、北米、ロシア東欧からの受注が増加したことにより、2年ぶりにプラスへ転じました。
さて、今年の経済環境については、国内では4月の消費税率8%への引き上げに伴う成長率の鈍化が懸念されますが、産業競争力強化法や5.5兆円規模の経済対策等により、引き続き緩やかな景気回復が続くものと期待されます。また、明確でなかったエネルギー政策については、原子力発電を重要なベース電源と位置づける等、成長戦略との整合性が図られ、今後の経済活動の安定化に繋がるものと思われます。
一方、海外については、内閣府が昨年12月に発表された「世界経済の潮流」によりますと、世界のGDP成長率が昨年の2%台半ばから今年は3%程度へ伸びると予測されております。
こうした中、わが国が景気回復を本格化させ、デフレ脱却を確実なものにできるかどうかは、この1年が正念場になると思われます。景気は回復しつつありますが、財政対策に依存するばかりでなく、日本経済を自律的で安定的な成長軌道に乗せていくためには、民需が主導する回復基調に繋げていく必要があります。特に、製造業の競争力強化は今年の最重要課題であり、設備投資や事業再編に関する税制優遇等、わが国産業の活性化に資する支援策が盛り込まれた昨年末の経済対策等を有効に活用し、我々民間が機動的な設備投資や構造改革等に取り組むことが益々重要になっております。
また、日本経済がグローバル化のメリットを活かして持続的な成長を実現していくためには、TPPを始めとする経済連携の推進、イノベーションの強化、企業の持つ強みの組み合わせ等によって、わが国産業の競争力を高め、世界市場の競争環境の変化にも柔軟に対応していく必要があります。
このため、我々産業機械業界も、東日本大震災により被災された地域の経済社会の再生に引き続き取り組むと共に、高水準で付加価値の高い技術や製品の提供により、日本企業の生産性の更なる向上、社会インフラの整備、国際競争力の強化に取り組んでいく所存です。併せて、ニーズの高まるエネルギー・環境分野の技術に磨きをかけ、地球規模でのエネルギー問題への対応や二酸化炭素の排出量削減等に貢献して参ります。
政府におかれましては、TPP等の経済連携、法人実効税率の引き下げ、規制緩和等を一層強力に推進していただきたいと思います。
同時に、わが国企業の活力を発揮させるため、新興諸国を中心に急拡大する社会インフラ市場の開拓や中小製造業の海外ビジネス活動の支援等、国際展開戦略を着実に実施していただくことを期待しております。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますと共に、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。