「“産学官連携”の強化と“標準化戦略”の強化に注力」
●日本工作機械工業会 会長 花木 義麿
平成26年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年の工作機械市場は内外の経済回復に伴い、緩やかな回復が進みました。国内では、いわゆるアベノミクスによる経済対策や、円高修正と海外景気の持ち直しに伴う輸出型産業の収益改善により、設備投資が大きく回復に向かいました。
海外では、米国は堅調な工作機械の需要が続き、欧州は一般機械、航空機などからの需要が回復基調を辿りました。しかし、アジアでは中国やアセアン市場が弱含みで推移しました。この結果、昨年の工作機械受注額は1兆1千億円強になったと見込まれます。
マクロ経済を見ると、欧米の政府債務問題やアジアを中心とした新興国経済の成長鈍化の懸念など、一部にはリスク要因があります。しかし、自動車や航空機の需要増加、資源開発やインフラ関連への投資拡大等にともない、世界における工作機械の潜在需要は増加していくと見込まれます。
このような背景を踏まえ、本年は業界として昨年の受注額を大きく上回る水準を目指して参る所存です。これに向けては、日本が世界をリードしている複合工作機械の高度化や知能化技術の追求、また、難削材・新素材加工への対応など、得意とする技術分野で、一層の差別化を進めていかなければなりません。
一方、販売・サービス面では、ユーザーの生産性向上や技術革新のためのソリューション提案力の強化、また、日本が誇る迅速かつ丁寧なアフターサービスの提供を全世界に展開していく必要があります。
一昨年、当工業会で取りまとめた「工作機械産業ビジョン2020」では、我が国工作機械産業が中長期的な視点で対処すべき諸課題として、①産学官連携の強化、②標準化戦略の強化、③JIMTOFの求心力強化、④人材の確保・周知策の強化、等を掲げました。本年はこれらの課題に対し、当工業会関係者が一丸となって取り組んで参ります。
特に、従来、業界全体として必ずしも十分には手がつけられなかった 「産学官連携の強化」と「標準化戦略の強化」に注力していく所存です。
本年は2年に一度のJIMTOF 開催年にあたります。JIMTOFの第一回開催から50年を経て、新たな半世紀の第一歩となるJIMTOF・Tokyo 2014が10月30日から6日間の日程で開催されます。業界各社の最新技術を世界のユーザーに発信するとともに、広く一般の方々にも「ものづくり」のすばらしさを感じていただける展示となるよう、「JIMTOFの求心力強化」への諸準備を進めて参ります。
日本の工作機械業界として、世界のものづくり産業の繁栄に貢献すべく、これら諸活動に鋭意取り組んで参りたいと存じます。
関係各位には、ご指導、ご鞭撻と一層のご協力を賜りますようお願い 申し上げます。
平成26年が皆様にとって、さらなる飛躍の年になることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。
「わが国製造業の強みは“ハイクオリティ”、“ホスピタリティ”、“リーズナブル・プライス”」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博
あけましておめでとうございます。
年頭に際し、所見を述べさせていただきます。
昨年は新興国の経済成長が減速しましたが、先進国に牽引され世界経済は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら南欧諸国における経済不安や米国の財政協議難航による政府機関の停止、中国経済の停滞など、世界経済は未だ不安定な要素をはらんでいることを改めて認識させられた1年となりました。
一方、日本に目を転じますと、新政権発足後の日本経済への国内外からの期待感が高まる中で、2020年の東京オリンピック開催の決定など、久しぶりに明るい光がさした年でもありました。
さらに政府の各種の施策が打ち出されるとともに為替が円安方向に推移する中で、国内の設備投資に対する期待感も高まるなど、我々の製造業にとっても明るい材料がありました。
しかしながら、我々製造業を取り巻く環境を見た場合に楽観的になってばかりはいられません。リーマンショック以降の不安定な外部環境においてもアジアメーカーをはじめとした新興メーカーは着々と力を伸ばしており、セットメーカーのみならず、我々部品製造業も厳しい競争に晒されているからです。
このような環境において、我々はその強みを見直すとともに、環境が変化する中で、さらにその強みを磨いていかねばなりません。日本の製造業の強みは「ハイクオリティ」、「ホスピタリティ」、「リーズナブル・プライス」であり、その3つのバランスであると考えます。
「ハイクオリティ」とは市場にあわせて機能は選別しつつも、最高品質の製品を提供し続けることです。「ホスピタリティ」とは、相手の期待するものを察して行動するおもてなしの心です。そしてそれらをお客様から見て安いと感じられる価格で提供することが「リーズナブル・プライス」です。
昨今の食品虚偽表示の問題はこの3つのバランスを欠いてしまった残念な結果かと思いますが、決して対岸の火事として傍観するのみではならないと考えております。我々部品製造業もアジアメーカーとの競合時代にあり、この3つを成り立たせることは容易ではなくなってきているからです。しかしながら、どれ1つ犠牲にすることなく、バランスよく実現していくために、これまで以上に知恵を絞り、ツールを駆使して魅力のある製品を提供し続けなければなりません。そして、それができれば日本の部品製造業が世界の製造業の発展を引き続き牽引していくことができると信じて疑っておりません。
従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様とともに強い信念を共有し、日本の製造業の発展に寄与できますよう、積極的な活動を展開してまいる所存です。
最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
「日本の“ものづくりの土壌”を絶やさない工夫が必要」
●日本精密機械工業会 会長 長瀬幸泰
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、日精工の活動に格別のご支援を頂きまして誠に有り難う御座います。
決められない政治からの脱却は、様々な軋轢を国の内外に生みだしながらも進み始めております。本年は、いよいよ、それらの決め事が国民の真の幸福に繋がるか否かの正念場
を迎えようとしております。肝心なのは、どれだけの時間軸でその結果や成果を評価するのかということではないでしょうか?目先の変化や、不利益にとらわれてばかりでは、どんな良い政策、対策もその効果を発揮することなく、目まぐるしく変化せざるを得ません。
また、どんな政策も完璧なものなどあり得ないということを理解して、如何に良い効果を得られるように運用するかの知恵が必要だと考えます。企業活動においても市場の変化に企業ごとに適切に対応がなされていると思いますが、リーマンショック、東日本大震災後の生産拠点の海外流出も、日本の「ものづくりの土壌」を絶やさない工夫が必要であると思います。
一度荒れ果ててしまった土壌を元に戻すのに必要な労力を想像するとき、海外生産と同時に今、日本でやっておかなければならないことを着実に実行されておられるエクセレントカンパニーがいらっしゃることに勇気を頂いております。
設備投資と人材の育成という車の両輪を常に等速で回転されておられる企業です。和食が世界無形文化遺産に登録された様に「日本のものづくりの価値観」を製品とともに世界に発信していくことが重要だと思います。
本年も日精工の活動に倍旧のご支援を賜りますよう、御願いを申し上げます。