日本工作機械販売協会(会長=冨田 薫 トミタ社長)が1月11日、都内の第一ホテル東京で賀詞交歓会を開いた。
あいさつに立った冨田会長は、「昨年を振り返り、トランプ政権が本格的に始動し、地政学的にいえば世界的にも摩擦があったのだが、北朝鮮問題については今年も注視したい。日本国内では安倍政権が再任され、強い政権ができた。株価も高くなり安定し、一般経済でいえば今年1年、良好ではないだろうか。工作機械業界については史上最高の暦年の受注額だと聞いた。本年についていえば、年末から年始にかけて多くの中小企業を訪問したが、仕事が出ているな、という感想を持った。今年も内需については日工販の努力にもよるが6000億円を目指して頑張りたい。」と意気込みを示した。
また、昨年開催された東京モーターショウについて触れ、「驚いたことはコンセプトカーが展示されていたが、運転席には誰もいない。乗っている人たちは皆さんで話をしているうちに目的地に行くということで、EVでありレベル4であり、カーシェアリングを視野に入れたコンセプトカーだと思われるが、2030年くらいに先進国ではこうした自動車が走っているのではないかと感じた。日工販としても自動車の将来には非常に興味がある。」としたうえで、「自動車以外の産業にも目を向けていかなければならない。半導体、建設機械、医療分野、航空機産業などにも注力していかなければと思う。」と述べた。
日工販の役割について、「重要な点は教育である。SE教育をはじめ、お客様の要望が非常に高くなっていることもあり、レベルの高い営業マン教育の一助になれば良いと思う。また、情報の提供も重要であり、補助金、税制改正、PL保険等の情報を提供していきたい。各分野の専門家に依頼をして講演会を開催し、メーカーの新製品勉強会や工場見学会、メーカーの営業マンとの情報交流会を積極的に実施し、より連携を深めていきたい。」と力強く話した。
続いて来賓を代表して、片岡隆一 経済産業省 製造産業局 産業機械課長があいさつをした。この中で片岡産業機械課長は、「担当する賀詞交歓会にいくつか出席しているが、皆様方の表情は明るい。半導体、建機関係も好調だが、昨年は、それらをつくり出すためのマザーマシンは動きが大きく出た1年だったのではなかろうか。おそらく受注額はリーマンショック前の時を超えて史上最高になったのではと思われる。皆様は販売を担当されているが、各種教育セミナーに注力されている。最近の展示会でも、IoT時代にあって様々なものが高機能化、多機能化している印象を受けるが、そういったものを実際、クライアントのところに届けて、しっかりと使ってもらうには、日工販の会員各社の皆様方、さらには営業の最前線で活躍されている皆様方の努力と腕にかかっている。まさに底支えがあって業界全体の取り組みが動いている。今後もますます期待したい。」と声援を送った。
業界を代表して飯村幸生 日本工作機械工業会会長が、「昨年のわが国の工作機械業界は、地政学的なリスクが内包されていたが、それを相殺する以上の勢いが内外需にあった。年初には若干の出遅れ感があったのだが、9月以降1400億円以上の数字が続いた。11月には1585億円という史上初めて月間1500億円を超えた。昨年の年間受注額は2007年が今までの最高額1兆5900億円だったが、それを超える数値になると確定ではないが現時点の情報ではある。回復は拡大基調に移ってきているという状況であると思われる。業種別に見ると、半導体製造装置や中国のEMS発現等の増加が目立つが、分析をすると各国、各業種が自立的に悪いところがなく、安定した受注が続いたのが実感である。バランスのとれた受注内容であった。これもひとえに日工販の会員の皆様の営業活動のお陰だと感謝申し上げる次第である」と感謝の意を表した。
乾杯の発声を野中治孝 日本工作機械輸入協会 副会長(ゴーショー社長)が行った。宴もたけなわのころ散会した。