「働き方改革」が議論されている。以前、月刊ベルダでも書かせていただきましたが、現在の働き方は週休二日制がベースになっている。これは‘80年代から大企業を中心に経営効率化を目指して導入されたことから始まる。‘89年には銀行窓口業務は土・日が休日になり、その数年後には公官庁が、立て続けに公立学校も土・日が休日になった。
今では週休二日制が当たり前のような風潮があるけれど、ところがどっこい、週休二日制の普及率は厚労省の「2015年就労条件総合調査」によると、隔週など含む「何らかの週休二日制」を採用している企業割合は85.2%、「完全週休二日制」を実施している企業割合は50.7%と、辛うじて半分を超えているのが実情なんですね。日本企業が本格導入を始めてから35年が経過しているにもかかわらず、この数字は予想外に低いもので驚いた。これじゃあ、プレミアムフライデーどころじゃないわ!
要は、この数字から、なんとなく労働政策の矛盾をうっすら感じるということ。個人的にはバブル経済崩壊後が実は大きなターニングポイントで、この時に、働き方の改革について本腰を入れてやるべきだったと睨んでいる。
働き方改革は、従来の生活を変えることに等しい。現在、「月末の金曜日は豊かな週末を過ごそうじゃないか」という消費喚起や働き方の改革を促すキャンペーンのプレミアムフライデーも、製造現場からみると、「ええっ!? 月末の金曜日に休んじゃたらウチは大変! 納期は月曜日だ!」って感じ。営業だって、売上げを伸ばすのに追い込みをかけられて必死よ、もう。
というわけで、現実をみると、当たり前のように見えている完全週休二日制も、いまだ完全とはいえず、まずはその普及を加速することが最初の一歩だ。そのためには、大胆さも必要で、従来のやり方、風土を見直さなければならないと思う。
最近は、大手宅配会社が改善に乗り出したが、企業にはまだまだ過剰な業務が多々あるようで、これらは育児や家事と仕事のワークライフバランスにかかわる課題なので、こちらも併せて議論すべきだろうと感じている。