日本機械工具工業会(会長=本間博夫・不二越社長)が1月12日、東京・港区の第一ホテル東京で新春賀詞交歓会を開催した。
新年のあいさつに立った本間会長は、「当工業会は一昨年の2015年6月にスタートし、早いもので1年半が経過した。会長方針として2つのことを私が会長の間にやろう、と決めたことがある。その1つは、コンプライアンスである。コンプライアンスは工業会活動の大前提となるものである。昨年12月に理事会において競争法コンプライアンス規則を承認いただき、他の工業会には劣らない体制が出来上がったと自負している。もうひとつの方針として、会員の皆様のグローバル化、海外進出を支援しようと考え、推進部隊として国際委員会をつくり、まずは海外見本市の視察や講演会などの取り組みを企画実施している。改めて会員の皆様のグローバル化を方針として掲げた背景をお話しすると、近い将来、日本国内の工具の需要は減少していくんだろうという危機感があった。われわれ工業会の最大の需要先は裾野の広い自動車関連のお客様だが、EV化、トランスミッションが減速機へ置き換わる。そうなると切削工具は減少していくであろう。昨年の11月には某自動車メーカーはEV車に大きく舵を切った」と、危機感を示したうえで、「勝ち残って行くには、われわれは海外市場に販路を求めていかなければならない。しかしながら会員の皆様が独自にそれをやろうとすると、時間や工数もかかってしまい、決して簡単なことではない。今年は工業会としての機能をさらに強化し、会員のサポートをより強く徹底する。皆様の海外進出、海外展開の一助となるよう取り組んでいく」と力強く述べた。
続いて片岡隆一 経済産業省製造産業局産業機械課長が、「機械工具は工作機械とともに製造業を支える非常に重要なエレメントである。自動車、航空機、情報家電のありとあらゆるものをつくる礎でもある。時代の変化とともに技術革新が日進月歩であるが、日本の屋台骨を支えているといっても過言ではない自動車業界での動きが日本のものづくりに確実に大きな影響を与える。自動車だけではなく航空機エンジンも削るだけではなく、3Dプリンタでものをつくっていこう、という動きも出ている。様々なものづくりが革命的に大きく広がっていく。第四次産業革命というとまだまだ混沌としている部分があるというのが正直なところだが、これがどんどん進んでいくと、皆様方が造られた製品が実際組み込まれて動いている工作機械や産業機械の稼動方法も変わるだろう。そこによって造り出された製品のネットワーク自体も大きく変革をしていくことと思われる」とあいさつした。
乾杯の発声は牛島 望 副会長(住友電気工業常務)が行った。宴もたけなわの頃、石川則男副会長(オーエスジー社長)の中締めで散会した。