日本工作機械販売協会(会長=冨田 薫氏)が1月10日、東京・港区の第一ホテル東京で新春賀詞交歓会を開催した。
新年のあいさつに立った冨田会長は、「昨年から世の中が違った方向に動いているように感じる。イギリスのEU離脱、トランプ氏が1月20日に大統領に就任する等など、ポピュリズムや保護貿易主義が拡がりつつあるのが気になっている。工作機械の受注について今年は政府の様々な施策もあり、また円安やJIMTOF効果により日工販としては昨年以上の内需の数字を挙げていきたい。また、JIMTOFで拝見した新しい機械についての感想だが、自動車部品加工のモジュラーマシンが非常に格好良くいい機械が出来たと感じた。また低価格の5軸、複合加工機が出ており、これが普及するのではないか。大型の航空機加工の高速マシニングセンタも良い方向にいくように思った。金属の3Dプリンタと組み合わせたハイブリッドマシンも大変面白く、また、ギア加工のスカイビングは今後楽しみである」と述べ、日工販の今後の活動については、教育の活動に触れた。その中で冨田会長は「IoTで販売がインターネット化されると無味乾燥な人間はいらなくなる。われわれとしてはお客様に提案力や問題の解決力を備えた営業マン育成の一助になれば、と教育活動に注力し、お客様と心のこもった付き合いができるような営業マンを育てていきたい。また、メーカーの方々とは工場見学会や新製品等の情報交換を行う」として、絆を強めたい旨を示した。
続いて、片岡隆一 経済産業省製造産業局産業機械課長が、「昨年に引き続き経済の好循環を固める年になることを祈念したい。現在、英国の話から米国、ロシア、と思わぬところでリスクになりかねない、市場を大きく揺るがしかねない様々な話があるが、米国で新しく大統領になられる方の掲げられるマクロ経済政策のお陰で、為替の影響等もあり、皆様方にとって外国での需要という意味では決して悪い事でもない。昨年の秋に開催されたシカゴでのIMTSに出展された皆様の話によると、熱気を感じることができた、と聞いた。また11月にはJIMTOFもあり、国内外の多数のメーカーが出展され、IoTを見据えた新しい機械、例えば3Dプリンタとのハイブリッドマシンや、繋がった上で機械制御をしっかり行っていくという取り組みを多数拝見することができた。皆様方の努力がIoT時代を切り開く原動力だと思っている」とあいさつした。
花木義麿 日本工作機械工業会 会長があいさつをした。この中で花木会長は、「昨年の工作機械を取り巻く環境は、年初早々から原油価格が暴落し、また、6月には英国のEU離脱問題もあり金融市場が大きく揺れた。こうしたことから急速に円高が進んだこともあった。しかし、11月にトランプ新大統領が決定されたことにより、一転して円安が進んできたことから、昨年はまさに世界の政治、経済、社会が激動した年だった。工作機械業界はこうした厳しい経済状態の中で1年を通じて月あたり1000億円台で推移していた。これで6年連続して1兆円を超えており、これも日工販の皆様の多大なるご支援のお陰だと感謝申し上げる次第である。本年の見通しは、トランプ新政権が誕生する米国をはじめとして世界経済には不透明感があるが、本年も受注を伸ばしていけるのではないか、と思っている。ものづくりの世界ではドイツのインダストリー4.0等、生産革新が世界で進められている中にあって、優れた付加価値の高い工作機械や高度なソリューションといったニーズはますます強まってくる。日本においては円安を背景として製造業における製品競争力が高まると思っている。こうしたことから製造業における投資マインドも高まってくることに加え、政府のものづくり補助金や減税措置等で需要が喚起されてくるだろう」と明るい見通しを示した。
乾杯の発声を中川貴夫 日本工作機械輸入協会 会長が行った。宴もたけなわの頃、散会した。