日本フルードパワー工業会(会長=梶本一典 CKD社長)が1月14日、都内の東京プリンスホテルで賀詞交歓会を開催した。
梶本会長は、日頃の感謝の意を表したあと、「昨年12月に米国のゼロ金利政策が終了し、その影響が新興国にどのように影響するか各国が見守っている中、今年は年明け早々、サウジアラビアとイランとの国交断絶のニュースが飛び込み、中東地域に一段の緊張が走った。また原油安からの資源国経済の低迷やGDP世界第二位の中国の成長鈍化など新興国景気の減速などを背景にアジアや日・米・欧株が大きく下がるなど波乱含みの状況でスタートした。このような世界情勢の中、新年早々に招集された国会では3.3兆円規模の補正予算、そしてTPP関連、また、GDP600兆円を目指す来年度予算などのわが国経済を大きく左右する多くの重要な審議がされると聞いている。安倍内閣は今年を内外課題に対する挑戦の年、経済最優先の年と位置付けており、デフレ脱却を目指すアベノミクス政策の更なる進化とその果実に期待したい。さて、私たち日本フルードパワー工業会は、今年創立60周年の節目を迎える。もはや戦後ではないといわれた昭和31年に前身である油圧機器工業会、日本自動機器工業会が設立され、お陰様で、今や販売高約7000億円にまで発展した。しかし、周囲の環境は大きく変化をしている。世界経済の一層のグローバル化の進展により様々な地域のリスクなどが世界経済に大きな影響を与える時代である。フルードパワー業界が今後とも成長発展していくためにはこのようなグローバル化した社会経済の様々な動きに迅速に対応していかなければならない。その意味でも新技術への挑戦、どこにも負けない生産効率の向上、新規市場開拓などの持続的活動が求められる。そのためには学会の先生方をはじめとした多くの学校による産学連携研究開発の推進や工場の革新、そして、女性やシニアの方々の働きやすい環境作りが大切であり、工業会としてもこれらをサポートする活動を強化していきたい。今年は参議院選挙の年である。初めて18歳以上の若者が参政権を得て国政に関与する選挙であり日本の政治も変化する予感がしている。昨年の北陸新幹線の開業に続き、今年3月には北海道新幹線が函館まで開通する。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催、2027年のリニア新幹線開業に向けて東京をはじめ国内各地で様々な工事が始まってきており、日本の都市の姿が大きく変わりつつあるが、日本の国民が忘れてはならない東日本大震災から早5年が経とうとしている。交通網などのインフラは計画通りに復旧しているようだが、被災された方々が1日も早くもっと安心して暮らせる街になって欲しいと願っている」とあいさつした。
「経済の好循環の実現を期待」
来賓を代表して若井英二 経済産業省大臣官房審議官が、あいさつをした。この中で若井審議官は、「アベノミクスは4年目を迎え、引き続き経済最優先で政策を展開していく。この政策を考えるとアベノミクスがスタートする前、この時期は六重苦ともいわれ、為替の問題、通商交渉の遅れ、法人税など様々な課題が指摘されていた。昨年末の税制大綱で法人税の問題についても一年早く20%台を実現し、TPPについても大筋合意を取り付けたなど、アベノミクスの第一ステージに中において、ビジネスの観点からみて大きな課題であるといわれていたものについては、かなり目鼻が付きつつあるのではないかと思っている。経営者の皆様方からすると、やはり経済政策がコロコロ変わるようでは安心して投資も事業もできないということではないか。これまでのビジネスをしっかりと進めていただくための政策をわれわれはきちんと続けていく覚悟なので、ご協力をいただきたいと思っている。世界経済、特に中国経済、資源国経済、相当不安を抱えている中で設備投資もなかなか難しいところがあるが、投資というのは生産能力増強の投資ばかりではなく、全体を見通せない時期には少し縮みながら、新しい準備をする、例えば研究開発投資、人材投資、様々な投資がある。ぜひ、こういったところにも目配りをしながら経済の好循環の実現をしていただき、デフレ脱却、日本経済をしっかり支えていただく道筋をつけていきたいと考えている。」と述べた。