「生産効率の向上、新規市場開拓などの持続的活動が求められる」
●日本フルードパワー工業会 会長 梶本一典
新年明けましておめでとうございます。平成28年の年頭に当たり、一言ご挨拶申し上げます。
今年の干支は、丙申(ひのえさる)です。丙は、形が明らかになってくる頃を意味し、申は果実が成熟し固まって行く状態を意味しています。そう考えると、今年はこれまでの努力や頑張りが実り、成果があらわれる良き年となりそうです。ちなみに、前回の丙申の年であった昭和31年は、戦前の水準を超えるまでに経済が回復し、「もはや戦後ではない」と経済白書に記載された年であり、これも一つの区切りの年だったのかも知れません。
さて、昨年の我が国の経済環境は、一昨年実施された消費増税の影響も、年後半には薄れ、日銀による超金融緩和政策の維持に加え、省エネを前提とした設備投資減税や導入補助金政策等により、景気は緩やかながら回復基調で推移していたと言えます。こうした中で、我々フルードパワー業界をみますと、空気圧機器は、中国における工場自動化の推進を背景にして堅調に推移しましたが、油圧機器は資源価格の低迷や中国市場における建設機械の不振などから、非常に厳しい一年となりました。
このような状況下、今年を展望してみますと、国内では昨年10月に内閣改造を行なった第三次安倍内閣が、「希望を生み出す強い経済」を目指し、これまでの三本の矢を束ね、一層の強化が図られています。2020年頃に名目GDP600兆円を達成するという大きな政策目標を打ち出し、加えていわゆる岩盤規制の見直しなどを含む成長戦略が確実に実行されることによって、経済の先行きには明るさが期待できます。
一方、海外をみますと、米国では政策金利の引き上げによる経済動向には注意する必要がありますが、労働市場の動きや個人消費支出を背景に継続した成長が期待できます。しかしながら、世界第二位の経済大国である中国は、「新常態」と称する安定成長に舵を切り、金融政策等により景気の底上げを図っていますが、行き過ぎた住宅投資や設備投資等から今後も厳しい状況が続くものと思われます。更に、中国経済の減速や石油価格低下等により、周辺諸国の景気が下振れしたり、欧州の難民流入問題、中東情勢のリスクなどが不安定要素と言えます。
フルードパワー業界が今後とも成長、発展していくためには、このようなグローバル化した社会・経済の様々な動きに対応していかななければなりません。その意味でも、新技術への挑戦、どこにも負けない生産効率の向上、新規市場開拓などの持続的活動が求められます。そのためには、産学連携の研究開発の推進、工場の革新、女性やシニアの方々の働きやすい環境づくりなどが大切であり、工業会としても、これらをサポートする活動をしていきたいと考えております。
あの東日本大震災から早5年が経とうとしています。交通網などのインフラは計画通りに復旧しているようですが、被災された方々が一日も早く安心して暮らせる街になって欲しいと願う次第です。そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで後4年半となり、急ピッチに工事が本格化してくると思われます。また、2027年開業に向けてのリニア新幹線の工事も始まっています。復旧と工事両方の努力が大きな実を結ぶよう、新しい日本に向けて政府に頑張っていただくとともに、我々フルードパワー業界も世界の動きを見つつ、一歩先を見据えて大局的に判断し、競争と協調の精神の下、一層努力していきたいと考えております。日本フルードパワー工業会が、日本のそして世界の発展のためにさらにお役にたてるよう、皆様方の温かいご協力をお願いいたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
「“日本のモノづくり”、“日本製”を世界の市場で強調していきたい」
●日本精密機械工業会 会長 稲葉弘幸
平成28年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
旧年中は当工業会の活動に格別のご支援、ご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
さて、2015年は「国内回帰」が紙面を賑わして始まり、経済産業省が実施した国内回帰に関する調査では、国内製造業者の約13%が海外から国内拠点へ生産を移管した事が判明しております。
その要因として上げられるのが、「海外生産拠点で製品の品質維持に課題が生じた」ことや、「為替の円安基調も国内への生産移転を後押し」したようでございます。昨年の10月に開催されましたメカトロテックジャパン2015では、過去最高だったリーマン・ショック直前の2007年展に次ぐ2番目の規模となり、来場者数は過去最高の9万4千人を数えたそうです。当工業会としましては、日本の「モノづくり復活」に向けて貢献出来るよう努めてまいる所存でございます。
更に、昨年11月末にまとまったTPP政策大綱では「新・輸出大国」を掲げ、中小企業の海外展開支援を後押しする。中小の「稼ぐ力」の底上げが安倍政権が目指す「強い経済」「地方創生」実現のカギを握る、としております。このことは、独自技術を発揮している当工業会会員企業にとって追い風になると期待出来ます。
一昨年スタートさせた「JAPAN MADE」認証制度を更に充実させ、「日本のモノづくり」「日本製」を世界の市場で強調していきたいと存じます。また、昨年11月には当工業会の次代を担う若手技術者の育成と交流を目的とした発表の場で2回目となる「技術研修会」を開催しております。この研修会では若手技術者が互いに刺激を受ける良い機会になっております。このような研修会を企画することによって、若手の育成にも更に力を注ぎたいと存じます。
当工業会は「超精密へのあくなき挑戦」を共通のテーマに掲げ、精度、効率、スペースなどを具体的に追求している企業の集まりでございます。
今 後も「日本のモノづくり」に貢献出来るよう努めてまいりますので、引き続きお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。
最後に、関係各位のご支援、ご協力をお願い申し上げますと共に、皆様にとって最良の年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。
「輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤を成すもの」
●日本工作機械輸入協会 会長 中川貴夫
2016 年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は当協会の事業活動にご支援ご協力を賜りまして、誠にありがとうございました。
昨年、当協会はおかげさまで60 周年を迎えました。輸入工作機械は日本の近代化や工業化の基盤を成すものであり、当協会はその発展と推進において貢献いたしてきました。グローバル時代における「日本人のものづくり」を支えるため、61 年目という第一歩を気持ちも新たに歩んで参ります。
2015 年の工作機械の輸入通関実績は、1,000 億円超(予想)を達成し、2002 年以来の統計で最高額となりました。政府による設備投資優遇策や円安による輸出の恩恵を受けた企業が設備投資に動いたことも好調な要因と考えられます。また、イタリア・ミラノにて開催された「EMO MILANO 2015」は、120 ヵ国から155,362 名の来場があり、日本からも大勢の方が視察され、大盛況に終わりました。このEMO をきっかけとし、更なる業界の活性化につながることを期待したいと思います。
今年は、11 月17 日(木)から22 日(火)までの6 日間、東京ビックサイトにて「JIMTOF2016」が開催され、当協会の会員企業も多数出展いたします。また、9 月12 日から17 日まで、米国シカゴにて「IMTS2016」が開催され、当協会では今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣いたします。
国内外の展示会では、新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な工作機械が多数展示されております。皆様のご参加・ご来場をお待ちしております。
さて、今年は、昨年来の中国経済の失速や、独フォルクスワーゲンの問題による影響が懸念されるところではありますが、本年が活気あふれた一年になりますことを心より願うばかりです。
最後に、皆様にとりまして、今年が最良の年となりますよう祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
「各社の成長戦略を具体化していく年」
●日本歯車工業会 会長 澤田 豊
平成28年の新春を迎え、謹んでお喜びを申し上げます。
本年はアベノミクス4年目を迎え、正に成長路線に乗せる正念場の年と言えます。
昨年は当工業会も円安の恩恵を受け、収益は改善されたものの、量の拡大にまでは至っておりません。これを、ダイナミックな成長路線に乗せるには、経済政策に頼るのではなく、自ら切り開いていく必要があると思います。つまり、各社の成長戦略を具体化していく年であります。
その着眼は2つあると考えます。1つは技術開発力。2つ目はグローバルな展開力。
まず、グローバルな展開力では、米国市場の重要性に変りはありませんが、中国市場の重要性が一段と増してくるものと思われます。これは、中国自体が、世界の工場から内需での成長に変質しつつあるからで、当工業界としても、8月に開催した中国歯車工業会との交流などを活用し、情報交換をより密にしていく場を提供していきます。
そして最も重要な着眼である技術開発力について。
歯車は技術的に成熟しているかのように思われていますが、全くそうではありません。歯車装置の高信頼性、小型化、低騒音化の新たなニーズに対し、近年、新たなシーズである加工法が提案され、グローバルな開発競争に入っています。
当工業会は、産学連携をベースに、パワーの集中を図るためのコーディネイト機能を果たしていきます。
これら、成長戦略を具体化していく上で、人材の育成が重要なことは言うまでもありません。当工業会は、ギヤカレッジと言うトップレベルの講師陣と豊富な実習を有する他に類を見ない教育システムを九州大学より受け継いでおります。これを永続させ発展させることが、将来に渡り競争力を高める根幹と考え、力を注いでまいります。
機械工業の要素部品である歯車は、今後も、商品の信頼性と出来栄えを制する重要部品でありつづけると思います。当工業会はグローバルに競争力のある歯車を提供していく、と同時に、会員企業にとって魅力を実感できる工業会にしていきたい。関係各位のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。おわりに、皆様にとって良い年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。