アマダ(社長=岡本満夫氏)が、このほどグループ内の再編を実施し、2015年4月1日付で持株会社制へ移行することに決定したと発表した。同社グループでは「お客さまとともに発展する」という経営理念のもと、激変するグローバル市場に対応する改革を間断なく進め、モノづくりを通じて世界の人々の豊かな未来に貢献してきた。
現在、2016年3月期に売上高3,000億円、営業利益率15%を目標とした中期経営計画を推進中だが、2年後の創業70周年、その先の100周年への次のステージを見据えた持続的成長とより一層のグループ経営効率の最大化による収益拡大に向けて、強固な経営基盤の再構築を行う必要があると判断し、持株会社制への移行を決定した。
同社は持株会社制移行のため主要事業を分割し、同社子会社3社に承継させる。事業分割後は、株式会社アマダホールディングスへと社名を変更し、事業会社の統括や管理を主に行う持株会社となる。なお、引き続き上場を維持していく予定。
■持株会社移行後の状況(予定)
(1)社名
株式会社アマダホールディングス
(2015年4月1日付で株式会社アマダから株式会社アマダホールディングスに社名変更予定)
(2)事業内容
グループ戦略策定、経営企画 等
(3)本店所在地
神奈川県伊勢原市石田200
(4)代表者の役職・氏名
代表取締役会長 岡本 満夫
代表取締役社長 磯部 任
(5)資本金
54,768百万円
(6)決算期
3月31日
事業の再編について
今回の事業の分割により板金機械の販売を担う会社が新たに「㈱アマダ」に社名を変更する予定であり、板金機械の開発・製造を担う「㈱アマダエンジニアリング」と共にグループの中核をなす事業会社となる予定。また、今回のグループ再編にあたり、サービス体制の強化を目的にサービス機能を当社からアマダ汎用機械㈱に移管し、2015年4月1日付で「㈱アマダテクニカルサービス(仮称)」として事業を展開する。また、総務・人事等のグループ内の共通業務を集約し、シェアードサービスを専門特化して行う、「㈱アマダビジネスサポート」を設立する。
1.板金事業
(1)板金事業の製販分離
現在のアマダの板金事業を製販で分離する。開発・製造の機能は、新設される㈱アマダエンジニアリング(現在は㈱アマダエンジニアリング分割準備会社)が担当し、販売の機能は、同じく新設される㈱アマダ(現在は㈱アマダ分割準備会社)が担当する。
開発・製造のミッションは、開発面では市場創造のための技術開発の推進や、市場競争力のある商品の早期市場投入を実現すること、製造面では欧米及び中国の現地工場のコントロールをしつつ、適地適産による徹底したコストダウンを図ることである。
販売のミッションは、国内及びアジアでの板金ソリューション販売の推進であり、①レーザビジネスを軸としたソリューション提案の強化、②支店プロフィット体制での収益性の向上、③国内での成功オペレーションを適用したアジア事業の拡大としている。
(2)サービス業務の集約
これまで、板金機械の保守を担っていたサービス組織をアマダより分離し、独立採算制のサービス専門会社として㈱アマダテクニカルサービス(仮称)を発足させる。より高いサービス品質と効率性を同時に実現させ、顧客満足度の向上を図りつつ、サービスのメニュー化によるサービスビジネスの拡大を図ることを狙いとしている。
2.プレス事業
プレス事業は、現在のアマダから㈱アマダマシンツールに移管し、同社はプレス商品の開発、製造、販売、サービスを一貫して担当する。アマダマシンツールの既存事業である研削盤事業と今回取り込んだプレス事業とのシナジー効果を狙い、金型業界の開拓を目指す。ユーザーサイドに立った加工視点アプローチによるプレス事業の再建を推進していく。
3.切削事業
切削事業は、現在のアマダから切削ブレード製造の事業を㈱アマダマシンツールに移管し、同社は切削商品のマシン及び消耗品について開発、製造、販売、サービスを一貫して担当する。切削事業の一元化を図り、本業としての独立採算を確立しつつ高収益事業の更なる拡大を目指す。
4.工作機械事業
工作機械事業は、引き続き㈱アマダマシンツールが担当する。事業の選択と集中による収益体質の改善を実現しつつ、研削盤に特化した商品開発により他社との差別化を実現し、事業拡大を目指す。
5.溶接事業
溶接事業は、引き続き㈱アマダミヤチが担当する。アマダミヤチのミッションはレーザ溶接及び抵抗溶接事業の推進であり、アマダの板金ビジネスとの連携による売上高の拡大を図りつつ、不採算事業の再編による収益構造の改善及び本業特化体制の確立を図る。
6.シェアードサービスの分社化
現在のアマダの総務・人事等のグループ内の共通業務を集約し、新設する㈱アマダビジネスサポートに移管する。同社は、グループ内共通業務、間接材購買、施設・設備修繕などを担当し、グループ間接業務の集約・効率化による収益体質の改善を図る。
今回の持株会社制への移行により、持続的成長と一層のグループ経営効率の最大化による収益拡大に向けて強固な経営基盤の再構築を実現し、更なる企業価値の向上を目指すとしている。
中長期目標『Task 3・2・1』に向けた取り組み
同社は、100周年の次なるステージを念頭に、中長期にわたり持続的発展を遂げるための目標を策定している。具体的には、2015年3月期売上高計画に対し 30%増の達成を視野に入れ、M&Aを含めた成長戦略の策定とその実行、経常利益率 20%の達成を目指した収益構造の改革に取組むとしている。さらにROE10%を目標にさらなる資本効率化などを推進していく。