スウェーデンのファーガスタに本社を構えるセコ・ツールズが続々と新製品を発表している。同社では革新的な金属切削ソリューションを開発し、顧客と密接に連携してそのニーズを的確に把握して対応することで、世界的に高い評価を獲得している。
新世代のモジュラー式リーマシステムを発売
最新の 「Precimaster™ Plus (プリシマスタープラス) 」は Precimaster 従来機の性能を受け継ぎながら、高精度接続、使い捨て超硬ソリッドヘッドが採用され、止まり穴および貫通穴のいずれの用途にも共通のホルダを使用できる。これらの改善により、リーマ加工の速度、安定性および汎用性が大幅に向上し、従来よりも高い精度とコスト効果で穴加工が可能になったほか、サイズ公差を 15 ~ 25ミクロン、仕上げ面精度を Ra.4 ~ Ra.8 に維持する。 特許取得の接続をシステムに採用したことにより、すばやく、簡単にヘッドの交換ができるとともに、再配置の繰り返し精度が高まり、振れを 3ミクロン未満に抑える。
この接続は、特殊な 3 本の垂直なドライブピン設計により、伝達可能な駆動トルクを高いレベルで容易に処理ができ、内部の軸方向クランプ力は、ヘッドを上方向のシステムシャンク内に引き寄せ、強力で安定した接触面を実現する。
「Precimaster Plus (プレシマスタープラス)」 には直径 10 ~ 60 mm の使い捨て超硬ソリッドヘッドが採用されており、4 種類の標準シャンクサイズに取り付けができる。シャンク長さは、逃げを制限される場合があるのでショート、ミディアム、ロングがオプションとして選ぶことができる。また一般的な穴深さは、それぞれ 最大 10 x Dで用意している。従来のろう付けチップ技術比で、超硬ソリッドヘッドは同じヘッド径でより多くのコーナ数を使用でき、送り速度が最大 30%改善される。また、超硬ソリッドヘッドの採用で工具寿命が最大 30%延長され、高靱な被削材に対する安定性も高まり、システムの費用効果が向上した。
切り屑処理と管理の面では、異なるタイプの噴射が「Precimaster Plus (プリシマスタープラス) リーマシャンク」に適用でき、貫通穴加工と止まり穴加工のどちらにも対応する。工具ボディ前面のクーラント流出口は、ヘッド部フルートに沿って切り屑を形成して止まり穴から排出する。また、標準的なクーラントスルー搭載工具は、切り屑を前方向に噴出し、工具から遠ざけることで、貫通穴のリーマ加工を効率化する。
「Precimaster Plus (プリシマスタープラス)」 は 3種類の リード形状が特長で、汎用、高度な送りおよび細かな仕上げに対応する。リーマヘッド材種は、超硬コーティング、超硬ノンコーティング、コーティングサーメット、ノンコーティングサーメットなど 5 種類が用意されており、あらゆる被削材で最適の性能を発揮する。
Minimaster Plus チップ交換式フライス加工システムに新しいクーラントスルー形高送りヘッドを追加! 汎用性を改善
同社が航空宇宙、発電、金型、自動車、医療業界の一般的な加工用途向けに開発した「Minimaster Plus」 は鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、アルミおよびその他の加工の難しい被削材でも容易に切削が可能。このシステムを使えば、工具長さの再測定は不要になる。
システムの最大の特長の ひとつに、交換式超硬チップと鋼シャンク間の高精度な接触面がある。チップには内側にねじ切り、外側にテーパがあり、シャンクには内側にテーパ、中央にねじ式センターピンが付いているため、信頼性と安定性が向上するばかりではなく、径振れも約 10 ミクロンに抑えられる。
このほか、シャンクの軸方向のストッパにより、繰り返し精度と生産性が改善され、加工機械のスピンドルから工具を取り外さなくても済むため、エンドユーザは簡単にチップを交換できる。さらに新しいチップは 25 ミクロン以内で軸方向に再配置される。交換式チップの採用により、再研磨が不要となり、コスト削減に貢献する。
システムには長さ 55 ~ 249mm のシャンクを 24 種類取り揃えている。チップには 2 つの材種があり、あらゆる被削材と E 種および M 種ジオメトリに対応しているため、スムーズな切削が可能。オプションのチップには径 10mm、 12mm、16mm があり、コーナ半径は 0.4 ~ 3.1mm があるため、さまざまな設計要件に対応する。さらに、スクエアショルダおよびボールノーズチップには 3 フルート設計のクーラントスルーが採用されている。
「EPB® 5867」で穴タップ加工量とねじ品質が向上
このほど「EPB 5867 タップ加工チャック」を発売したことで、セコ・ツールズの高品質ツールシステムのラインナップが全て揃ったことになる。このチャックには、同期機を使った安全なタップ加工を可能にする、全く新しいマイクロ補正メカニズムが採用されている。このメカニズムに備えられた軸方向の +/-0.5mm の微細な曲げが主軸回転、送り速度、タップピッチの微細な偏差を補正することで、タップの応力を排除し、破損を防ぐ。その結果、高品質のねじを制作できるようになり、特に止まり穴のタップ加工の品質が大きく向上した。
「EPB 5867」では、タップに直接伝わる軸方向応力を吸収するため、従来の補正なしのタップ加工チャックよりも穴タップ加工量が大幅に増え、工具寿命も延びた。また、どんな被削材に対しても同様の性能を発揮するので、あらゆる産業分野のユーザーにも幅広い用途で利用できる。
「EPB 5867」はHSK-A、DIN-AD、BT-AD、Seco-Capto™の主軸接触面に加え、多くのツールホルダに取り付けができるウェルドン/ホイッスルノッチシャンクやストレートシャンクにも対応する。タップサイズの範囲は、スクエアドライブ付きER11、ER20、ER25、ER40タップ加工コレットの使用時で M2 ~ M30。また、コレットのクランプナットがシーリングリングを固定するので、クーラントが流路に沿ってタップ内を流動する。
「EPB 5867」の他に、セコ・ツールズには軸方向送り補正が可能な非同期機用クイックチェンジタップ加工チャック、「EPB 5283」もあります。「EPB 5260 早替えタップ加工チャック」と 「EPB 5865 ER タップ加工チャック」は、同期機でしかできない固定同期タップ加工用に用意している。