、セコ・ツールズ・ジャパン(社長=松田剛一氏)の親会社であるSeco Tools AB副社長アジア地域担当アンドレアス・フリッツ氏、Seco tools(Thailand)Co.,Ltd)による会見が、11月3日に開催された。
同社はこれまで長い間、スウェーデン本社が多額の資金を投資し研究開発を行ってきた。セコ・ツールズ・グループは、世界50カ国で約5,000人の従業員が、3つの共通した企業精神を基に、国境の垣根を越えたビジネスを展開している。
ラース社長は、「近年、注目されている航空機、発電、自動車産業における切削加工は史上の被削材の変化や形状の複雑化により多くの課題に直面している。私どもは日本市場をこられの産業を牽引する重要市場として位置付けている」と話す。
お客様の生産性向上に貢献
この業界の世界的なマーケットの状況については、ラース社長は、「2014年の第三四半期までは、世界的に市場全体に大きな変化はなく、微増程度に留まっている。ただ、地域や顧客ごとにかなり大きな違いが出ているという状況だといえるだろう。アジア市場については、昨年中国が弱くなってきた一方、日本、東南アジア、インドが伸びており、アジア全体では伸びているという状況だ」とした。その原動力については、「自動車産業、航空宇宙産業」を指した。
現在、非常に好調なアメリカ市場については、「ここ1~2年、アメリカ経済が伸びてきているが、南アメリカは残念ながら不景気の状況に近くなってきており、弱い状況が続いている。一方、ヨーロッパもほぼ横ばい。例外は航空宇宙産業で、エアバスインダストリー、ロールス・ロイスを中心にかなりの活況を呈している」と航空宇宙産業が好調であることを説明した。
切削工具業界を取り巻く世界的な傾向については「デジタル化の流れ」を挙げた。「デジタル化的なソリューションで常に話題が繋がっている」とし、「非常に重要なことである」と述べた。
同社では、過去5年間で、グローバルな世界中の情報量が7倍も大きくなっていることに注目している。
「一人一人がデジタルソリューションで情報を入手する時代を受け、セコ・ツールズもクラウドを使うことによって様々な情報にアクセスすることができる“マイページ”の充実を図るべく、多くの投資を行っている。この“マイページ”は、例えばセールスの情報を社内で検索をしたり、外部のお客様に様々な情報を入手していただくクラウドベースのソリューション。約4年前からわたくしどもが投資を始めてきたものである。現在、様々な国で所得が増え、工業化が進んでいくと考えられる。具体的には東南アジアが引き続き成長し、特に中国、インド、それからいくつかのアフリカ諸国も成長の輪に入っていくと思っている」(ラース社長)
アジア地域を担当するアンドレアス・フリッツ副社長がアジアの状況について話した。
その中でアンドレアス副社長は、「日本の工作機械業界をみると、日本には大手工作機械メーカーがある。わたしどもの切削工具の技術にとっては非常に重要な存在である。先方が工作機械をつくって、われわれが切削工具を提供する、そういう関係になっている。日本のマーケットは、われわれにとって製品を販売するマーケットということだけではなく、工作機械メーカーと一緒に仕事をする上では非常に重要市場にもなると考えている。また、開発の状況がどうなっているのかということを知らなければならない。つまり、製造業における最先端の技術の進捗状況がどうなっているのか、とわれわれは常に知っておかなければなりません。わたしたちにとって日本のマーケットは戦略的にも非常に重要な位置付けにある」と述べている。
“セコ・ファミリー・スピリット”で洗練されたツールを提供
今回の「JIMTOF2014」で注目された同社の「ステディライン」。“バイブレーションダンピング”という、振動を軽減することに特長を持つ工具だ。同社では、航空宇宙産業分野に関して優れた結果を出している。
今後も素材がますます難しいものになると予測している同社だが、ラース社長は、「ツール自体も非常に洗練されていくので、技術系の社員のスキルをさらに高めなければならない。そのためにはまず職場としての環境や考え方、精神が非常に重要であると考えており、われわれの“ファミリースピリット”という家族的な考え方に表れている。これは会社の中だけでなく、お客様も含めたファミリーの一員であり、われわれはファミリーとして問題を解決していくんだ、という意味である」と、細かい気配りを見せた。
同社の強みは国際的な企業であることが挙げられる。例えば、「アメリカ、イギリスの航空宇宙業界の状況はどうか」という問合せを聞けば、すぐさまアメリカ、イギリスに連絡を取り、情報を入手して顧客にアドバイスができる状況にあり、こうした情報を共有することも「セコ・ファミリーの一部として行っている」としている。
「日本の工作機械は全世界に必要とされているので、今後も工作機械メーカー各社様とはより緊密に仕事をしていきたい」(ラース社長)
同社では、日本国内で1年に2回、様々な地域で「セコニュースイベント」を開催している。これは、企業規模の垣根を越えて、加工現場で活躍している方々に新製品を含めた最新の情報を提供することを狙いとしており、いち早く切削工具のトレンドに敏感な方達の注目イベントの一つである。