このほどジーベックテクノロジーと不二越が共同で、“ドリル加工時”のバリをテーマにしたセミナーをジーベックテクノロジーの開発拠点であるジーベックプラス(東京都大田区東糀谷)で開催した。
不二越が切削工具の形状と加工条件・加工方法によるバリの抑制方法を、ジーベックテクノロジーが交差穴のバリ取り・内径研磨の自動化方法を紹介し、マシニングセンタを使った加工実験を行った。
バリ取り大学の特別講義「ドリル加工時のバリ生成メカニズム」も行い、理論と実践を提供した。
ユーザーが直面するバリの問題点に焦点を当てる
切削工程から考えるジーベックバリ取り自動化セミナーは今回で二回目。第一弾は、“エンドミル加工時のバリ”をテーマに日進工具と行い、約30名のユーザーが参加したが「実演加工でイメージが沸いた」など好評だった。メーカーの主催するセミナーは自社製品のPR目的に行われることがあったが、ジーベックテクノロジーが企画をする「切削工程から考えるバリ取り自動化セミナー」は、ユーザーが直面するバリの問題に焦点を当て、切削工具メーカーと共に解決策を提示するところに特長がある。
ジーベックテクノロジーの住吉慶彦社長は、この企画の背景について、「第二弾の今回は、ドリル加工時のバリに焦点を当て、理論と実践により受講者がバリ取り・研磨の自動化へ向けて具体的に取り組めるように知識、ノウハウ、事例を提供します。これまで弊社は、独自のセラミックファイバー素材を活用した工具を開発し、手作業で行われることの多い、バリ取り・研磨工程の自動化を提唱してきましたが、バリ取りは全ての使用・工程が決定したあとに検討されることが多く、バリ取りの自動化を実現するには、工程設計段階から設計者や生産技術者、製造ライン担当者、品質管理者など多くの関係者がすり合わせを行う必要がありました。バリ取りの自動化に成功されているユーザーは、切削工程から見直して「バリをコントロールしている」という特長もある。そこに着目して切削工程でどのような工夫をすればバリをコントロールできるかという具体策を提示し、ユーザーがバリ取り自動化に向けた第一歩を踏み出しやすいようにするのが狙い」と話した。
参加者に感想を聞いてみると、「アクアドリルフラットについては社内でも実例があった。弊社は研磨機を使って表面研磨をしているが、セラミックファイバーなどを使ったバリ取りの自動化については時間が短縮できるなど能率が高められるのかもしれないと感じた。別な用途でも使えそうだな、ということも頭に浮かびました」(装置メーカー)
「アクアドリルは弊社も使っているが加工面が綺麗。ジーベックの推奨するバリ取りの自動化は加工効率の向上が期待でき、非常に興味があります」(自動車メーカー)と、参加者の評判も上々だった。
なお、第三弾は、“フライス加工時のバリ”焦点をあて、バリ抑制チップを開発するなどバリに対する問題意識の高い住友電工ハードメタルと今秋の開催を計画中である。また、第一弾も定員オーバーのため参加できなかったユーザーも多数いたという人気の日進工具とは年内に再度“エンドミル加工時のバリ”に焦点を当てた共同セミナーの開催を予定している。