1938年の創業以来、75年間に亘って、切削工具のタップ、エンドミル、ドリル、転造工具、測定工具当の製造と販売に携わってきたオーエスジーが、この75年間の歴史の中で、主力製品であるタップにあらためてスポットを当て、このほど新プレミアムブランド「Aタップシリーズ」を開発し、販売した。
タップ加工においては主なトラブルの原因は、切りくず排出時の不安定さにある。
「Aタップシリーズ」は、安定した切りくず排出性を持ち、さらに柔鋼やステンレスなど様々な被削材や幅広い切削領域・機械で使用できるうえに工具寿命も長いという画期的な切削タップ。
製品の特長は、タップの母材には高い耐摩耗性を誇る粉末ハイスを、さらに表面には高い耐摩耗性のVコーティングを採用していること。さらに刃先には、切りくず形状を安定化させる切れ味重視の刃先使用を採用し、溝は切りくず排出を即す不等リード(PAT.)(A―SFT)が採用されている。
■加工事例:SUS304の2D深穴加工
ステンレスは材料の粘りが強く、加工時の発熱も大きく、難削材に分類される。
工具径の2倍の深さの深い穴へのねじ立て加工で他社品が57穴で折損したのに対し、AタップシリーズのスパイラルタップA-SFTでは、約20倍の1000穴を加工してもなお、加工継続可能という耐久性を実証した。幅広い切削領域、異なる切削速度でもばらつきなく安定した加工が可能である。近年、環境に配慮した塩素フリーの水溶性切削油剤による加工が増えており、良好なテスト結果といえよう。
■マシニングセンタにおける高速加工
被削材は中・高炭素鋼のS45Cを15,30,40m/minの異なる切削速度で加工しているが、結果にばらつきがなく、安定加工を可能にした。
■マシニングセンタの能力を活かす切削領域でも性能を発揮
切りくずのつまりやすい横形マシニングセンタでの30m/minという高速切削加工においても、他社品や同社従来品に対してもトラブルのない高い耐久性を示している。
今回発売のAタップシリーズは、以下の2製品を予定している。
①ポイントタップ A―POT
主に、通り穴に使用されるポイント溝を有するポイントタップ。
サイズは、M3~M24までの全29サイズ。価格は、標準価格で2,340円から23,500円。
②スパイラルタップ A―SFT
主に、止まり穴に使用されるスパイラル状の溝を有するスパイラルタップ。
サイズは、M3~M24までの全29サイズ。価格は、標準価格で2,350円~24,400円。
初年度の販売見込みは、60万本、約25億円。
主力工場である日本の八名工場(愛知県新庄市)を中心に、アジア、アメリカ、ヨーロッパに展開するタップ生産工場での量産も視野に置き、自動車産業をはじめとする世界中のものづくりの主要拠点にこのAタップシリーズを展開する。