オーエスジー(社長=石川則男氏)が、2月22日(土)に同社アカデミー グローバルテクノロジーセンター(豊川市一宮町)で「第107回定時株主総会」を開催した。
石川社長はあいさつの中で、「昨年は米国のトランプ大統領が仕掛けた米中貿易摩擦が世界中の製造業に大きなダメージを与えた。ようやく回復の兆しが2020年に入って見られるようになったが、連日報道されているとおり、コロナウィルスの蔓延が中国のみならず世界中に拡大し、世界経済の行く末はかなり濃い霧に包まれた状況である。」とした。また、同社では中国で幅広い活動を行っているが、それについては「幸いにして現地の社員は本日現在感染をしたという情報は入っていない。主力工場の上海工場は全製造社員の約80%にて2月10日から操業を開始し、東莞工場も全製造社員の55%にあたる社員で2月13日に操業を開始している。営業の本社である上海オーエスジーも自宅勤務に集中しているが、2月10日から営業を開始している。」と述べ、同社から中国の顧客への供給について問題はないとした。
同社の2019年度の上半期は、前年度から続く生産財市場の旺盛な需要に基づき、設備を増強しフル生産を行った。しかしAブランド製品の旺盛な需要に生産能力が一部不足していたこともあり、特に主力のAタップの生産が上半期は滞ったが、下半期には生産能力を増強することができた。また、M&Aを行った会社のうち、グループ入りした会社のコーティング技術などをフル活用し、コーティング能力の増強にも努めた。上半期は世界経済が堅調に推移したものの5月以降、中国、インドなどの自動車産業が急激に落ち込み、日本やヨーロッパの自動車産業に波及し、切削工具の需要の激減に大きく影響した。この結果、連結売上高は1,269億6,400万円、連結営業利益は195億5,400万円、親会社株主に帰属する連結当期純利益は、136億8,600万円となった。
欧米では、投資、消費に支えられ比較的に堅調に推移したが、中国では米中貿易摩擦に起因して生産、輸出、投資が鈍化した。韓国においても景気悪化傾向が継続し、企業業績も悪化した。その他アジア新興国もその影響を受け、以前の高い伸びと比べ鈍化した。また、国内においては、個人消費は力強さを欠く状況で輸出に弱さが見られた。国内では主要ユーザーである自動車関連産業向けをはじめ、幅広い業種から需要は比較的堅調に推移した。輸出では中国向けは低調となったが、米州、欧州、その他アジア向けは増加となった。
北米では航空機関連産業向けが引き続き好調で、自動車関連産業向けも僅かに弱さが見える部分もあったものの比較的堅調だったが、重工業や金型などその他業種において閉塞感が見られた。メキシコでは、自動車関連産業向けが引き続き堅調に推移した。ブラジルでは国内はタップ、超硬ドリルが堅調に推移し、輸出も好調でレアル安による外貨建て売り上げが増益に貢献した。米州セグメント全体では主力のタップおよび超硬ドリルの売り上げが増加したことにより前期と比較して増収となった。営業利益はブラジルでは堅調だったものの北米の既存の連結会社は伸び悩み、当期連結会計年度期首により米国に所存する子会社2社を新たに連結子会社として加えたことによるのれん償却費の増加等により減少となった。
欧州・アフリカではブレグジットなどの政治リスクが依然存在し、米中貿易摩擦も一部の国に影響を及ぼした。自動車関連産業向けを中心にシェアの低い同地域では営業力の強化に注力し、シェア向上に向けて既存市場の標準品の販売強化、大手ユーザー開拓による特殊品の拡販、航空機関連産業向けの販売力および開発力の強化を図っている。また、一方で、新たにグループに加わった会社とのPMIに注力し、よりシナジー効果を発揮できる体制構築に努めるとした。当期においては現地通貨ベースでの売り上げはほぼ同水準だったが、ユーロ安による為替換算の影響もあり、前期と比較して減収減益となった。なお、等連結会計年度期首よりイギリス、フランスおよびポーランドに所属する子会社3社を新たに連結子会社として加えている。
中国では米中貿易摩擦に端を発して製造業稼働率の低下を招き、自動車関連産業向けを中心に市況は低迷した。韓国、台湾、およびその他の新興国でも中国景気減速の影響を受け、アジアセグメント全体で前期と比較して減収減益となった。
剰余金処分の件、取締役(監査等委員である取締役を除く。)2名選任の件、監査等委員である取締役6名選任の件、補欠の監査等委員である取締役1名選任の件、役員賞与支給の件が上程され、それぞれ満場一致をもって承認可決し閉会となった。
なお、総会に関連して恒例となったプレゼンテーションでは、総会開会前に新製品等の紹介、総会終了後には海外動向を中心に報告があった。