日本精密測定機器工業会(会長=中川 徹 ミツトヨ会長)と、日本光学測定機工業会(会長=浜田智秀 ニコン常務)が、1月17日、都内の霞山会館で新年賀詞交歓会を開いた。
あいさつに立った中川日本精密測定機器工業会会長は、「中国の成長率が鈍化しているところへ、貿易摩擦が足を引っ張り、そのあおりを受け、中国経済の依存度が高い欧州、特に自動車業界を中心に低迷した。比較的良いと言われていたアメリカも、製造業に関する限りは、夏以降、陰りが出ている。私ども工業会の販売額は、まだ確定はしていないが、一昨年比で10%弱ぐらいのマイナスの1,050億円ほどではないか。年始の1、2月は比較的順調で、前年を上回っていたが、それ以降、は先述の景況を受けてしまった。しかしながら、1,050億円は、私どもの工業会で言えば、過去3番目に高い数字である。品質問題が経営に与える影響が強く認識され、間違えの起こらない品質管理ニーズが高くなっている。さらには世界的に人手不足を受けて、自動化ニーズが非常に高まっている。測定計測器需要が底上げしている証左であると感じている。」と述べた。
続いて浜田日本光学測定機工業会会長が、「当工業会は、昨年11月で60周年を迎えた。今年は産業界の技術分野においては、5Gへのシフトが既に加速度的に始まっており、至る所でデジタルトランスフォーメーションは上昇する一途だという認識をしている。またそれらをつなげるIoTなどのプラットフォームは既になくてはならないものになってきた。電子機器の需要は、今後ますます増える方向へ進んでいくだろう。技術革新のスピードが加速をしていく中において、この品質を支えるために、リアルタイムでかつ多くの計測を瞬時に可能とする光学測定機は核となり得ると考えており、その重要性もますます高まっていくと感じている。過去より度々繰り返される品質問題は、より顕在化する可能性があり、歩留まり向上やコストダウンといった、狭義での品質保証の領域をはるかに越えて、問題を起こしてしまった製品の評価を単に下げるだけではなく、企業価値そのものを大きく棄損されるリスクがあることを、われわれは強く認識しておく必要がある。当工業会では、見えないものを見えるようにするだけではなくて、定性的なものを定量化できるように活動を続けていく。これまで見逃していた現象、事象の把握だけでなく、評価方法の確立おも推し進めている。加えて、検査、測定、計測の自動化、省力化をなお一層進化させて、製品、部品の良否を単に判定するだけではなくて、工程をスピーディーに改善するためのフィードバックに役立てていただくことを目指している。」とあいさつをした。
来賓を代表して、池田秀俊 経済産業省製造産業局産業機械課 課長補佐があいさつをした。この中で池田課長補佐は、「今年は東京オリンピック、パラリンピックが開催される年。経済産業省では、先進技術で社会の課題に挑戦する、あるいは課題を解決するといったコネクテッドインダストリーズを推進している。安倍内閣が今年で8年目を迎えるが、安倍総理は一貫してこれまでの間、経済対策を第一の政策を実行してきた。年譜のGDPが史上最高、1割以上上がり、有効求人倍率についても、初めて47都道府県全てで1割以上を記録した。その一方で、米国、中国の経済競争やブレグジットの問題など、不透明感があり、大変危惧している。われわれとしては、国際経済貿易、自由で公正な貿易を日本が世界にリードして引っ張っていく意気込みである。」と述べた。