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【年頭所感】日本工作機械工業会/日本機械工具工業会/日本工作機器工業会

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「あらゆる技術を発展させて、世界の製造業の発展に貢献」
●日本工作機械工業会 会長 飯村幸生

200101飯村会長 2020年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年2019年の世界情勢を振り返りますと、米中関係悪化の長期化、Brexit問題、中東・アジアをはじめ世界各地での地政学的リスクの顕在化などにより、政治・経済両面で不安定感が増し、不確実性が強まった1年でした。こうした中にあって、我が国工作機械業界の受注は、内外需ともに、一般機械、自動車、電気機械など主要業種で年初の想定を下回る水準で推移しました。

 本年につきましても、国際政治・社会情勢等における外部的リスク要因が内在しており、製造業を巡る環境には不透明・不確実性が付きまとう状況が続いていくと思われます。しかしながら、製造業はあらゆる分野において新時代への変化が加速しており、生産技術革新のニーズがいずれ設備投資として顕在化されることが期待されます。

 製造業におけるIoTを駆使した技術革新は、5Gの普及につれ更に加速していくと考えられます。また、自動車業界におけるCASEやMaaSといったキーワードに象徴される電動化、自動化、サービス化といった潮流は、サプライチェーンに影響を与えていくと見込まれます。同時に多くの国では製造業における人材不足の問題を抱えており、省人化技術の高度化が求められております。日本の工作機械産業はIoTを活用したスマート・マニュファクチャリング技術、AI(人工知能)技術、三次元積層造形技術、少子高齢化時代に適応した自動化技術、ターンキー技術など、あらゆる技術を進化・発展させて、世界の製造業の発展に貢献して参ります。

 東京オリンピック・パラリンピック後に、本年12月7日から12日まで開催致しますJIMTOF・Tokyo 2020では、ユーザーの皆様に世界最先端の工作機械技術・製品を発信させて頂きます。また、全国から学生を招待して工作機械産業の意義や役割りを講義する「工作機械トップセミナー」の開催や企画展示を通じて、工作機械産業の魅力を社会にお伝えさせて頂きます。ぜひご来場頂きたいと存じます。

 日工会は、本年につきましても、産学官連携の強化、標準化戦略の強化、JIMTOFの求心力の強化、人材確保・周知策の強化等、業界に共通する課題への取り組みを推進して参ります。2021年の創立70周年に向け、2020年代の戦略策定や過去の業界活動を振り返る年誌編纂作業についても、鋭意検討を進めて参ります。関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 本年が皆様にとって更なる飛躍の年となることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。

「変化をチャンスに変える2020年」」
●日本機械工具工業会 会長 石川則男

200101石川会長 令和2年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は中国の自動車産業の減速に始まり、世界中の自動車産業、特に部品産業は大きく影響を受けました。航空機産業はまずまずだったものの、半導体、ロボット、自動化といったIoT時代をけん引する産業も一服感が強まり、機械部品産業全体に停滞感が広がりました。機械工具業界も4月以降は需要が減退、市場在庫の調整とも関連し、切削工具と耐摩耗工具の受注は減少しました。当工業会(JTA)の1月から10月までの累計生産金額は4,167億円となっており、年度見通しは5,014億円、対前年同期比96.6%を予定しております。

 一方、日本と欧米の貿易協定は一定の成果を上げ、切削工具におきましては相手先国側の関税は下がることが決まっています。ゼロになる地域もあり、機械工具業界としてはポジティブに受け止めています。米中貿易摩擦下においても自由貿易が拡大する方向で多くの国が賛同していることは、大変喜ばしいことと思っております。

 さて、2019年6月にドイツ・ミュンヘン近郊のロタッハ-エガーンで第7回世界切削工具会議(WCTC2019)が開催されました。JTAからも35名の方が参加され、プログラムは盛りだくさんで大変勉強になることも多い充実した会議でした。日本の切削工具市場報告の場では、JTAの生産規模(世界シェア19%)と日本の消費市場規模(世界シェア16%)を発表し、JTAの存在感を示すことが出来ました。この場をお借りしてご参加いただいた皆様に厚くお礼申し上げます。

 2020年も不透明な経済環境が続くことが予想され、上期においては生産財の景況は世界中で停滞すると思われます。環境対応、5G時代のものづくり、人手不足の中のものづくりはIoTと絡まって中長期的には大変期待される分野です。製造業の投資も、これらの分野ではさらに増えるものと期待しています。切削工具の需要はそれに加えて、航空機産業、医療関連、そして中国市場において少しずつ回復するものと思われ、2020年下期には良い方向に向かうと期待しています。世界中の顧客が日本企業に期待しているものは、他に類を見ない技術力ときめの細かいサービス力です。今まで以上にこれらの得意分野に磨きをかけて「変化をチャンスに変える2020年」にしたいと思います。

 最後になりますが、日本経済の益々の発展とJTA会員の皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。

「日本の強みを磨きイノベーションを起こす」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博

200101寺町会長 あけましておめでとうございます。年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

 昨年の世界経済は、米中経済摩擦をはじめとする米国と各国間における経済摩擦や英国のEU離脱協議の難航など、保護主義やポピュリズムの動きが見られる中、先行きに対する不透明感が高まりました。

 日本に目を向けますと、令和という新しい時代に入り東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた準備が進む一方で、相次いで発生した台風や豪雨が各地に甚大な被害をもたらしました。しかしながら、そのような中で行われたラグビー・ワールドカップにおいて日本代表が史上初の決勝トーナメント進出を果たしたことにより、多くの希望と勇気がもたらされた1年でもありました。

 世界経済の先行きに不透明感が高まり厳しい受注環境が続く中、AI、IoTなどのデジタルテクノロジーや自動化・ロボット化の進展を背景に、私たちのビジネスチャンスは広がっています。そのような中、私たちは萎縮せずイノベーションに徹底的に取り組んでいくことが重要です。ものづくりの世界において、インダストリー4.0などの考え方で重要な「見える化」や「自動化」が進むと、機械装置だけでなく、それを構成する部品やツールなどにも高品質で壊れないことが求められます。それはまさに日本の「強み」であり、私たちには、この「強み」を保持しながらイノベーションを起こしていくことが求められるのではないでしょうか。

 しかしながら、日本ではイノベーションが遅れているといわれています。それは新たなものを生み出しても、何か問題が起きると、過去に形成されてきた安全、安心、高品質というような画一的な基準で評価され、そこから外れると非難される風潮にあることも一因と考えます。従って、評価のものさしを多様化させ、これまでの延長線上のものなのか、新たな挑戦なのかを皆で評価し、新たなチャレンジやイノベーションを後押ししていくことも、日本においては必要ではないでしょうか。

 これらを実現し、日本の「強み」をさらに磨きながら、イノベーションを起こすことができれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業を牽引していくことができるものと考えております。

 従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、新たなものを徹底的に開発、提案し、業界の発展に寄与してまいる所存です。

 最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。


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