日本光学測定機工業会(会長=浜田智秀 ニコン常務)が、6月5日、都内の東京プリンスホテルで創立60周年記念祝賀会を開いた。
あいさつに立った浜田会長は、日頃の感謝の意を表したあと、「当工業会は60年前の1959年11月に現在の日本光学工業協会の部会から発足している。その時、わが国における光学・測定・画像機器工業の健全な進歩、発展と、業界の繁栄に寄与することを目的として独立したという。創立当時は会員8社の非常に少ない会社でスタートしている。現在ではその3倍近くになる23社という会員の皆さまと一体感を持って運営している。」と工業会の歴史について触れた。
業界を取り巻く環境については、「近年のものづくりは、ガソリンエンジンからEV車へのシフトが続いており、最近は自動運転へのシフトへの開発が進んでいるという状況。他方でVRやAR、さらにはAIを搭載したロボットなども、実用化が加速してきた。非常に技術的には進化が著しい時期に入ってきたという印象を持っている。」との感想を述べ、「それらをつなげるIoTも日々身近なものになってきており、IoTを支える電子機器の需要は今後ますます増える方向へ進んでいくというのは間違いないと確信している。これらの電子部品やデバイス分野の高度な技術や品質を支えるため、われわれの光学測定技術は核となり、これらの重要性が今後も確実に高まっていくと考えている。」との見方を示した。
工業会についても触れ、「工業会の姿はさらに大きく変容していくと考えている。世の中が所有するから必要な時期に利用するというパラダイムシフトを伴いながら、バリューチェーンも大きく変わってきている。これまでの開発、生産、販売で価値を生み出していた現在のビジネスモデル自体が根底から変わっていく可能性も秘めている時代に突入した。ちまたでは5Gを含むデジタルトランスフォーメーションという言葉が非常に氾濫してきたなと考えているが、ものづくりによる具現化なくして、この改革は進まない。われわれはこれまで以上に関係各位の皆さまとの連携を深め、ものづくり、コトづくりの発展へ寄与できるように取り組んでいく。」と意気込みを述べた。
来賓を代表して、山下龍夫 経済産業省 製造産業局 産業機械課課長補佐が、「工業会が設立した昭和34年を振り返ってみると、その2年前に発生しました鍋底不況、ここから立ち上がりつつ、当時の産業政策としては、電子や航空機、自動車産業の振興が今後の産業構造の高度化に資するとされ、日本経済をいかに自立的な軌道に乗せるかが当時の課題であったと経済産業政策史に記載されている。それから60年が経過し、令和という新しい元号の時代が始まった。平成の時代は、バブル崩壊後の長いデフレに苦しんだ時代ともいえるのではないかと思う。安倍政権が発足して名目GDPは57兆円増加し、この間10%以上の成長を達成している状況であり、令和の時代は、この勢いを生かして日本が世界の経済をけん引する時代になることを期待したいと思っている。」とあいさつをした。
乾杯の発声は、中川 徹副会長(ミツトヨ会長)が行った。宴もたけなわの頃、散会した。