三菱マテリアルが去る5月24日、都内の東京マリオットホテルで「2019年度東日本DIAEGDE特約店会」を開いた。
あいさつに立った中村伸一 三菱マテリアル 常務 加工事業カンパニープレジデント(以下中村常務)は、日頃の感謝を表したあと、超硬製品事業について説明をした。この中で中村常務は、同社の中でも工具ビジネスが成長促進事業の一環としている旨を述べた。また、2019年度を最終年度とする中期経営戦略を推進中であると説明をした。
加工事業カンパニーの事業方針について、中村常務は、「お客様視点に立って真のパートナーになることを追い求めて活動していく。安全、法令遵守、品質、納期、適正利益と、それぞれの頭文字を並べて、“SCQDE”とし、業務遂行における判断の優先順位とした。」と説明をした。
事業基盤強化のためには、「土台を劣化させることなく、メンテナンスをしていくことが大切である。その大本になるのが設備投資である。」と話し、「前年比で1.8倍の投資をしている。」と説明をした。今年度も引き続き、前年比1割以上増の投資を行うという。
さらに今年度について「投資判断を早めにし、製品の供給に滞りが出ないようスピード感を持った取り組みをすると考えている。製品供給力も大事だが、新技術や新製品の開発も、われわれの将来の糧をつくる上での重要な要素なので、しっかり投資をする計画を立てている。」と力強く述べ、物流体制については、「今年度から物流体制の構築のために準備を始めたところだ。まずはアジア地域の在庫を成田の在庫センターと同レベルに扱うことを目指して構築中である。設備投資による生産能力の増強と物流体制の新たな構築、さらに高いレベルの品質を目指したものづくりに励んでいく。」との思いを話した。
同社では提案力を強化するため、ここ数年で加工技術センターの増設を実施しているが、今年度はドイツのシュツットガルト、来年度はインドのプネーに施設を開設する計画だという。中村常務は、「提案力の施設の根本となるのが製品力であり、新製品を安定的に提供していくことが必要だと考えている。安定的に新製品を皆様にお届けすることも提案力の基礎である。」と考えを示した。同社では全体の4分の1が新製品だが、「これを3分の1以上に売上げを伸ばしたい。」との意気込みを述べた。
グローバルプレイヤーを目指す
続いて、2018年度年間表彰発表を金子善昭 加工事業カンパニー営業本部長兼ロジスティック本部長(以下金子本部長)が行った。あいさつをした金子本部長は、「2018年度は全体でも10%に近い伸びを示し、大変素晴らしい年だった。特に国内は非常に好調だった。」と振り返り、日頃の感謝の意を表した。また、持続的に超硬事業を伸ばしてくことについては、「グローバル化を目指し、海外に販路を拡げてきたが、持続的に伸長していくためにも、従来の営業体制に加え、よりサービス部門、ソリューションビジネス等に注力していく必要があるだろう。」の旨を述べ、「昨今懸念されている地政学的リスクの中でも販売戦略をしっかり取り組んでいく。」と力強く強調した。
生産性向上についても触れ、「私どもは販売部門なので、切削工具ビジネスは人が介在する部分も重要であると考えている。したがって働き方改革と人材戦略はとても重要だと考えている。労働人口が減少していく中、いかに人を採用していくかが喫緊の課題だ。弊社では、女性の活躍を推進しており、女性の採用を積極的に行っている。すでに女性営業スタッフが活動を開始している。また、日本人に限らず海外からも人材を受け入れていきたいと考えているところだ。」との考えを示し、今年度は産業と地域を軸に選択と集中をきかせる営業体制を強化する旨を述べた。
超硬製品事業・流通営業部方針を同 堀江武夫 流通営業部長(以下堀江部長)が行った。この中で堀江部長は、テクニカルセンターの活用状況について、「岐阜の中部テクニカルセンター、そして大宮の東日本テクニカルセンターそれぞれ来場したお客さまの目的は、加工テストや講習会、勉強会、そして見学会といったことを目的に多くのお客さまに来場いただいた。また、皆さまの大切なお客さまで、三菱マテリアルのテクニカルセンターに連れていってみたいという方は、ぜひ、お声掛けいただければと思っている。」と述べ、国内におけるテクニカルセンターの活用を促した。
作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏による「AIで仕事はどう変わるか ~今後の雇用の方向性~」をテーマにした講演が行われ、第一部は終了した。
第二部の懇親会では、東日本DIAEDGE特約店を代表して、淵本友隆 淵本鋼機社長が、「平成が終わり、令和がスタートした。平成では様々な出来事があった。特に大きなインパクトとなったのは新興勢力であるネットビジネスの台頭が挙げられる。彼らの勢いは留まるところを知らずに私たちの大きな脅威になっているが、彼らが存在しているからこそ、我々が気付かなかった強みや今後の方向性を考えることができるといえるだろう。われわれの強みである特約店会は、年に1度、メーカーと代理店と販売店が一堂に会して拡販のためのスクラムを組むことができる。私たちの絆、パートナーシップこそがわれわれの本当の強みであると考えている。」と力強くあいさつをし、乾杯の発声を行った。宴もたけなわの頃、松下幸輝 松下工機社長の中締めで散会した。