DMG森精機(社長=森 雅彦氏)は、2018年12月期(1月~12月)の連結決算を発表した。
当期における連結業績は、売上収益5012億4,800万円(前年同期4296億6,400万円)、営業利益362億6,100万円(前年同期293億9,100万円)、税引前当期利益312億7,500万円(前年同期248億300万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益185億1,700万円(前年同期152億6,300万円)となった。なお、当期の利益配当金は、一株当たり年間50円(前期40円)を実施する。
当期の受注額は、4,970億円で前年同期比11%増となった。ただ、上期の受注は好調に推移したものの、下期の受注は高水準を維持するもほぼ前年並みにとどまった。この状況下においても、CELOS、テクノロジーサイクル、周辺装置を含む自動化需要が伸長し、受注総額に占める自動化案件の比率は24%(前年同期17%)まで向上した。また、5軸加工機、複合加工機のほか、超音波およびアディティブマニュファクチュアリング(積層造形)などの先端技術の受注も伸長した。
地域別では、日本が前年同期比24%増と最も高い伸びとなり、次いで米州が13%増、欧州、中国がそれぞれ7%増、インドを含むアジアが4%増と各地域とも増加した。日本、米州、欧州は年度を通じて高水準の受注を確保できた。ただ、中国については、第3四半期(1~9月)までは、トラック、バスなどの輸送機器、エネルギー関連、一般機械向け受注増を享受できたが、第4四半期(10~12月)に入り、米中貿易摩擦の影響を避けられず、需要減に加えて、顧客の外貨調達難から、同社の受注計上要件となる前受金の受領が遅れる傾向が生じ、受注は大幅な減少が続いている。
同社の事業戦略については、製造現場での自動化・複合化の促進と5軸加工機の普及、統合的なデジタル化によるインダストリー4.0の実現に取り組んでいる。さらにアディティブマニュファクチュアリング(積層造形)の発展やDMQP(DMG森精機認定周辺機器)パートナーとの連携を通じ、すべての顧客に最適なソリューションを提供している。また、技術開発では、大型5軸加工機DMU 200 Gantry およびDMU 340 Gantryを昨年のJIMTOFで日本初披露し、国内で販売開始した。標準搭載の自社製主軸speed MASTERが高速かつ高精度な加工を実現するほか、ガントリ構造の固定テーブルを採用することにより、重量ワークや偏荷重ワークへの対応も可能となった。このため、アルミやGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の大型加工物も効率よく加工できることから航空宇宙業界や金型業界から好評を得ている。本年6月以降には、ヒューマンマシンインターフェイスCELOSにマカフィー㈱の「McAfee Embedded Control」を国内生産機に標準採用し、システムの停止や情報流出を阻止する情報セキュリティ対策を強化していく。
一方、同社は働き方改革にも取組み、“よく遊び、よく学び、よく働く”をモットーに、社員が安心して力を発揮できる健康的な環境の整備を進めている。昨年12月からは、一日の勤務時間を12時間以内としたうえで、退勤から次の出勤までを12時間以上あける「12時間インターバル制」を導入した。また、同社は「DMG MORI SAILING TEAM」を発足させ、日本における外洋ヨットレースの第一人者である海洋冒険家の白石康次郎氏を迎え入れて、単独・無寄港・無補給の世界一周レース「Vendée Globe(ヴァンデグローブ)2020」に挑戦する。あらゆる自然環境に耐えうる剛性、精度を追求した最先端の船舶の提供を通して、製造業の発展に貢献するという。
2019年度(1~12月)は、日本工作機械工業会が受注を前年度比12%減と予想するなど、高水準の中での調整局面を迎えると思われる。このような環境下で、同社は今まで進めてきた5軸加工機、複合加工機などの工程集約型機械、自動システムの需要増、超音波加工機、アディティブマニュファクチュアリング(積層造形)など先端加工技術の用途拡大に手応えがあり、引続き受注拡大に努めるとしている。その業績(連結)予想は、売上収益5000億円、営業利益360億円、親会社の所有者に帰属する当期利益190億円を見込んでいる。また、次期配当金についても、一株当たり年間60円の増配を予定。なお、米ドルレートは110円、ユーロレートは125円を想定している。