日本精密測定機器工業会(会長=中川 徹 ミツトヨ会長)と日本光学測定機工業会(会長 浜田智秀 ニコン常務)が1月10日、東京都内の霞山会館にて合同で賀詞交歓会を開いた。
日本精密測定機器工業会の中川会長は、「測定機器工業会を取り巻く環境は、トランプ大統領に振り回されたという感がある一方、この1年は自動車業界をはじめ航空機、電気、電子、半導体、医療、機械産業が堅調で、われわれにとっては良い年だったのではないか。加えて先進国、新興国を問わず労働力不足や、測定、検査のニーズの高まりもあり、これらの解決策として測定の自動化、その後のデータ処理の自動化といったことが注目され、計測需要をかさ上げしたことも昨年の特徴として挙げられる。」との旨を振り返った。
昨年の販売額については、「一昨年比おおよそ14%増の1,150億円にはなったとみている。年初に立てました目標は、一昨年実績の1,009億円対して過去最高額の8%増の1,090億円だった。国内、輸出の内訳は、11月までの確定数字については、輸出は19%強の伸びで大きく伸長している。国内も11月まで12.5%と高い伸びを示した。」とした。
また、出荷額の目標については、「今年は、3%アップの1,185億円を目標としたい。」と示した。
続いて日本光学測定機器工業会の浜田会長 が、「昨年は世界全体、そしてこの日本においても景気が好況となるスタートを切った1年だった。特に工作機械業界を中心に大変勢いがあった。日米貿易摩擦が最近は、日米貿易戦争という言葉にグレードアップしている。中国も今までの投資にブレーキがかかったというのを感じていたが、測定機に関しては、それを肌で感じるほどの影響はないというのが今日の時点での感触ではないか。自動運転も浸透が始まる感触で世の中が進行している。また、VRやAIを搭載したロボットが実際のラインに使われはじめているという感触を持っている。ものづくり全体から見ると、まだまだ頑張っているところが多い。特に近年ではそれらをつなげるIoTが非常に身近なものになっており、それを支えているのは電子部品になる。この電子部品機器は今後ますます増える傾向になると考えており、重要性は今まで以上に高まっていくだろう。」との認識を示した。
また、品質問題にも触れ、「これについては、単純に歩留まり向上やコストダウンといった狭い意味での品質保証の領域をはるかに超えてきたと認識しており、問題を起こした製品のみの評価を単に下げるだけではなくて、企業そのものの価値を大きく毀損させるリスクがある。これは経営層だけではなくて社会全体に意識しないといけない状況になってきた。当工業会では見えないものも見えるようにするだけではなく、定性的なものを定量化できるように過去より活動を続けてきている。光学測定機が得意とする可視光領域だけではなく、目に見えない領域の光を利用することによってこれまで検出困難であったものを数値化し、さらに高速かつ大量なデータを瞬時にストックすることを可能にしている。そのため品質での見落としなどをデータで保管することは、われわれが最も得意とする領域ではないかと考えている。」として、「現象、事象の把握だけではなく、評価方法の確立をさらにわれわれ推し進めていく。」との考えを示した。
来賓を代表して、山下龍夫 経済産業省製造産業局産業機械課長補佐が、「安倍政権が発足して6年が経過した。この間、名目GDPは54兆円の増加をしている。また、正社員の有効求人倍率は1倍を超え、2%程度の賃上げが5年連続続いている。緩やかではあるが景気は拡大しているという状況にある。他方、英国のEU離脱や米中の貿易摩擦、また昨年末にはアメリカによるエマージングテクノロジーの不正の策定で、製造業を巡る環境が目まぐるしく変わってきている。政府としてはTPP11の発行や今年2月日EU・EPAの発行等、自由で開かれた通商システムの強化に努めていきたいと思っている。」とあいさつをした。
乾杯の発声は日本精密測定機器工業会の吉田 均副会長(東京精密社長)が行った。宴もたけなわの頃、散会した。