三菱マテリアル 加工事業カンパニー(三菱マテリアル常務・カンパニープレジデント=中村伸一氏)が、5月25日、東京マリオットホテルで「2018年度三菱拡販戦略会議」を開催した。
第一部の総会で、中村常務から超硬製品事業についての説明があった。この中で、「2017年度は弊社においても新中期経営戦略の初年度だったが非常に喜ばしい数字を収めることができた。対前年に対して10%ほど成長させていくという思いで予算を確定させ、活動をスタートしているところだ。また、加工事業カンパニーとしては、さらに先を睨んで、2025年度を到達年とした長期目標を掲げて売上等々目標値をおいて取り組んでいる。2025年度には2007年度比で約2倍強の売上を目指していきたい。」と話し、数年で最も高い投資を今年度は計画し、サービス並びに製品供給力のさらなる質の向上を目指していくとの考えを示した。
また、同社の「ワクワクプロジェクト」についての説明があった。このプロジェクトは、「お客様の信頼を得る真のパートナーになるためには、われわれ自身もワクワクを持って、そのワクワクをお客さまにしっかりと伝えていくということが不可欠だ。」と捉え、「このプロジェクトの一貫として定期的に冊子を発行し、お客様との距離を縮める活動をし、お客様の悩みや課題に対して真摯に受け止め、それに応えていく姿勢を市場に訴えていく。」との狙いがあるとした。
同社では2015年から「GCT活動」を展開している。これは、「Get the Customers Trust」の頭文字をつなぎ合わせたもの。「すぐ行く、すぐやる、とことんやる」という思いを持って、顧客の元に伺い、クレームの内容をしっかり聞いて、それに対応するという活動を指す、とした。
また、昨年度において同社では、中部テクニカルセンターを開設したが、中村常務は、「われわれの技術をお客様に直接お伝えする場だが、さらにお客さまとの結び付きの場を設け、その距離を縮めていく、あるいはお客様の技術の伝承に役立てさせて頂く、そんな思いで切削アカデミーを開設した。」と説明し、「好調さに甘んじること無く、さらなる上を目指していく。」と意気込みを示した。
設備投資による生産能力の強化で新製品化率を高める
金子善昭 営業本部長兼ロジスティック本部長が、超硬製品事業の営業環境について説明をした。この中で、営業本部の活動方針については、①顧客の懐に入る、②工場(人)を動かす。③利益向上を考える――とした。金子部長は、「お客様の懐に入るためには、まずは自分の所属する組織の中で、部下が上司の懐に入りやすい環境を構築しなければならない。」とし、「工場(人)を動かすためには、管理職が部下の仕事をしやすい環境をつくらなければならない。」と管理職に対して指導の強化を述べ、「若い営業マンは、毎日の活動の中で特約店様からお叱り、あるいは様々なリクエストを頂戴し、悩みや課題を抱えて毎日会社に帰ってくる。上司はそうした悩みを全て聞いて、まとめ、場合によっては工場の幹部に交渉をする。必要に応じては、私どものトップのところへ来て、そういった問題をぶつけて改善をするよう取り組んでいる。」と説明をした。また、利益向上のためには、「まずは自分の価値を高める。それが商品の価値を高めていくことにもなり、きちんと利益を取らしていただくことに繋がる。」との考えを示した。
次に中期経営戦略の骨子に触れた。それによると、プロダクトアウトからマーケットインへ、徹底した選択と集中を図り、重要なユーザー、キーアカウントを徹底的に攻略していく旨を説明した。そのためには「顧客視点から全てを考えていく。」との思いを述べた。また、筑波製作所のさらなる設備投資による能力の増強と、海外の生産拠点を有効に活用することで、20%ほど生産能力をアップさせる旨を説明した。これにより特殊品について、3カ月以内にコンスタントに製品が納められる体制を構築していく。なお、現在岐阜製作所では、超硬ソリッドドリル増産3カ年計画を進めており、年度ごとに生産能力を高めている。合わせて必要な設備の投資も国内外で行っており、2020年までには生産能力を18%ほどアップさせるとの考えだ。
新製品の開発と発売状況については、2018年12月末までの間に、1,600アイテム数を発売する予定とし、「積極的な新製品をどんどん投入して新製品化率を高めていく。」と積極的な姿勢を強調した。
続いて2017年度東日本MSM年間表彰が発表され、金子部長より表彰状が贈られたあと、堀江武夫 営業本部流通営業部長から流通営業部方針の説明、高橋秀史 開発本部 独創区具開発グループリーダーから切削加工ソリューションと次世代工具について、それぞれ説明があった。
場所を移して第二部の懇親会では、淵本友隆 淵本鋼機社長が「機械工具業界は比較的良好だといえるだろう。特に工作機械受注は引き続き順調のようで、私たちは幾分か、この恩恵にあずかっている。こうした設備関連の受注というのは何千万円の単位で売上が上がっている。こうした業界から切削工具業界をみるとわれわれの業界が少し小さくみえるかもしれないが、しかし、われわれの原点はホルダー1本、チップ1ケースからの地道という言葉がピッタリの商売だ。これこそがわれわれの基本であり基礎である。こうした設備投資が活発で好調な今だからこそ、良い意味での泥臭さ、地道さを忘れることなく、本年度も三菱ブランドをお客様に提供したいと思っている。」と述べたあと、乾杯の発声を行った。
宴もたけなわの頃、三橋 誠 テヅカ社長が中締めを行い、散会した。